野ネズミの生息を調査 「スミスネズミいるかな?」 高校と大学院生が連携

2025.05.06
丹波篠山市地域自然

野ネズミを生け捕りにするため、木の根元に捕獲器を仕掛ける明尾さんと、篠山東雲高校自然科学部員の岩永さん、顧問の田井彰人教諭=兵庫県丹波篠山市川原で

兵庫県立篠山東雲高校自然科学部と兵庫県立大学の大学院生が、ささやまの森公園(同県丹波篠山市川原)内で野ネズミの調査を行っている。6月からの本調査に向け、このほど、予備調査を実施。生息していそうな複数個所に、事前に仕掛けておいた捕獲器を確認して回り、アカネズミ1匹を捕獲した。同部は昨年度から同公園内に生息する生き物を調べており、「ささやまの森公園は市内屈指の豊かな自然を誇るエリアだと肌感覚では分かっているが、調査データをまとめて数値化して示したい」と意気込んでいる。

これまで丹波篠山市内では、野ネズミの本格的な調査は行われていないが、目撃例などから、生息している種として、アカネズミ、ヒメネズミ、ハタネズミ、カヤネズミ、人家でよく目にするドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミなどが挙げられる。

同調査は、兵庫丹波の森協会が同公園を舞台に昨年度から展開している「たんばユース躍動プロジェクト」の一環。高校生―社会人を対象に、丹波の森を見守る次世代チャレンジャーの育成を目的にした取り組みで、森を健全に持続していくために、森と動物と人が共生するための知恵や技術を学ぶ講座。

調査を進めているのは、県立大学院生で環境人間学研究科2回生の明尾亮佑さん(24)。研究対象は野ネズミそのものではなく、それに寄生するノミ類。同公園のほか、六甲山、淡路島南部、氷ノ山などでも調査を行っている。

明尾さんによると、ノミは国内で約80種が確認されているという。「ノミ類は未調査の部分が多い昆虫。どんなノミが、どのネズミに寄生しているのかなどの関係性や、地域的な種の構成、分布域などを調べ、修士論文にまとめたい」と話す。

専門知識と技術を持つ明尾さんが、同高校近くの同公園で野ネズミの捕獲を行うことを聞きつけた同部。昨年度から、同プロジェクトに参加し、野鳥や水生生物を調べており、「今年度は調査対象を広げたい」と考えていたこともあって、明尾さんの調査に参加・同行することにした。

予備調査で捕獲したアカネズミ(田井教諭提供)

予備調査では、▽水辺そば▽倒木そば▽木の根元▽茂み―など環境が異なる30カ所に事前に仕掛けておいた捕獲器を回収して回った。捕獲器は、「シャーマン・トラップ」と呼ばれる小型哺乳類を生け捕りにするための小さな箱わなを使用した。

調査に立ち会った同部員の岩永悠里さん(2年)は、「ネズミは家の周りにいるものだと思っていたが、森にも暮らしていることを初めて知った。調査を進めていくことで、どんな種類が見つかるか楽しみ。六甲山で発見され、新種登録(1904年)されたスミスネズミがここでも見つかったら面白い」と期待している。

本調査は6―9月の期間、毎月1回実施し、10月のまとめの会で、検証した調査内容を披露する。11月の県総合文化祭でも発表する計画。

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