当たり前にありすぎるけれど、住民が大切にしていきたいもの「世間遺産」―。丹波新聞では、兵庫県丹波地域の人や物、景色など、住民が思う”まちの世間遺産”を連載で紹介していきます。今回は、兵庫県丹波篠山市網掛にある「健康歩道 通りゃんせ」です。
同市立丹南健康福祉センターの一角にある。靴を脱いで歩くことで、さまざまなツボを刺激して健康を目指すというもの。どれほどのものかと、記者も歩いてみた。「いたたたたた!」―。
屋根付き、およそ25メートルの歩道。大きなものから小さなものまで20種ほどの石がびっしりと敷かれている。市によると、1999年3月、旧丹南町が市民の健康増進を目的に設置したという。
説明板によると、「足の裏は『人体の縮図』」で、頭や小腸、腎臓、心臓、胃などにつながる反応帯があり、素足で歩いて痛くなる個所があれば、「体調のよくない所の発見にもなります」とのこと。また、「辛抱強く続けると徐々に痛みがやわらぎ、気分が明るくなり、足などのむくみがとれ、よく眠れます」。良いことづくめだ。
「毎日来ている」という近所の女性と一緒に記者と営業部員が挑戦。始めは大きくて平らな石が多く、心地よい程度だったが、折り返しを過ぎた辺りから石が小さくなり、男2人の悲鳴が上がり始める。あと少しでゴールというところで、最小の石ゾーン。営業部員はたまらず、歩道から飛びのいた。女性は、「初めてやったら痛いやろ」と笑いながら悠然と歩いていく。
嗚咽を漏らしながら歩き終えると、足の裏がじんじんと熱い。明らかに血行はよくなった。
市民の健康のため、今後もあり続けてほしい世間遺産だ。