「親子そろって大空へ」 買い物籠ですくすく キセキレイ巣立つ

2025.06.04
丹波篠山市地域自然

ひなの餌となるイモムシをくわえ巣に舞い降りたキセキレイの親鳥=兵庫県丹波篠山市内で

兵庫県丹波篠山市の五十川正俊さん(85)・美智子さん(81)宅で、買い物籠に巣を構えていたキセキレイのひな6羽が5月26日、無事に巣立った。「鳥にはあまり興味がない」と話す五十川さん夫婦だが、「こんなにも近くで子育てをしてくれたら、否応なしに愛着が湧く。親子そろって大空を飛んでくれたら」と目を細める。

巣立ちはしたものの、まだ飛ぶことはできないようで、物陰に隠れて過ごし、親鳥が餌をくわえてやって来ると、ビビビビッとけたたましく鳴いて、餌をねだっていた。セキレイのシンボルと言える長い尾羽はまだ短いものの、ピョコピョコと尻を上下させる動きはすでに行っていた。

巣を構えたプラスチック製の籠の中には軍手や殺虫剤などが入っており、地面から1メートルほどの所につるされていた。母屋と納屋の間の通路に位置するため、家人の往来は激しい。「近づいたら警戒するくせに、なぜこんな場所に巣を構えたのかしら」と不思議がる。

ビビビビッと鳴いて地面を走り回るキセキレイの巣立ちびな

5月10日ごろに卵があることに気づいた。

同23日の記者の観察では、親鳥が5―10分間隔で、ガガンボやトンボ、イモムシ、クモなどをくちばしいっぱいにくわえ、餌を待つひなのもとへと運び込んでいた。

セキレイ科。丹波地域では留鳥。全長約19センチ。渓流沿いを好み、水辺の昆虫を食べる。抱卵、育雛とも雌雄で行う。卵は11―12日でふ化し、ひなは13日ほどで巣立つ。巣立ち後も1週間ほどは親から給餌を受ける。

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