兵庫県丹波篠山市の溝端由美子さん(68)宅で、ツバメのひな5羽が段ボール箱の中ですくすくと育っている。
溝端家では実に15年ぶりの営巣。かつて母屋の勝手口の軒先に造られた古巣を再利用し、少し泥を盛りつけただけで営巣を始めたという。
その後、夫の薫さん(71)が落ちている巣を発見。「人の手で触ると、親鳥が子育てを放棄する」という話をどこかで耳にした由美子さんは、網と火ばさみを手に、走り回るひなをやさしく捕獲し、段ボール箱に入れた。
さらに天敵のヘビやカラス、イタチやアライグマなどからひなを守るため、高さ1メートルほどの脚立の天板に段ボール箱をくくり付け、周囲にキラキラと反射するCDを複数つり下げた。また、足元に獣が嫌うとされるにおいを放つ木酢液をまいている。
“子育て支援”に励む由美子さんは「久しぶりにわが家で子育てをしてくれたと喜んでいたら、とんでもなく手間のかかる事態となった」と苦笑い。「ひなが無事に巣立ってくれることをただただ祈るばかり」と目を細めていた。