ツバメのお宿は納屋の中 巣立てば「やれやれ」 7巣で子育て

2025.06.09
丹波篠山市地域自然

納屋の中を飛び交う複数のツバメ=兵庫県丹波篠山市内で

兵庫県丹波篠山市の高橋眞さん(88)・美佐子さん(82)夫婦宅の納屋で数多くのツバメが子育てをしている。15個の巣が梁や蛍光灯のカバーの上に見られ、5月28日時点で7つの巣でひなが確認できる。1つの巣につき4、5羽が育っているもよう。「チュピーッ、チュピーッ」と親鳥が発する声と、「ジェジェジェジェッ」とひなが餌をねだる声が響き合い、納屋の中は大にぎわい。美佐子さんは、「こんなにもたくさんいたら、なんにもかわいくありません」とぼやきながらも、「小さな体で何千キロも旅して、毎年、わが家にやって来る。一生懸命、子どもも育てて、人間も見習わなあかんなあ」と頭上を飛び交うツバメに目を細めている。

納屋の中は、床から壁まで、ふんで汚れるのを防ぐための新聞紙が張り巡らされている。ツバメが出入りする扉を日の出とともに開け、日の入りとともに閉じる毎日。過去に、ひなを狙って大きなアオダイショウが侵入してきたこともあり、ヘビ避けに効果があると聞いた蚊取り線香をたく日もある。

ひなに餌を与えるため、巣に舞い戻ったツバメ=兵庫県丹波篠山市内で

納屋が大量のツバメに占拠され、「ツバメのお宿」状態になったのは5、6年前から。「昔から家に巣を掛けるのは縁起が良いと言うでしょう」。最初はそう思い、歓迎していたが、ある年を境に巣作りにやって来るツバメの数が増え始め、戸惑いが出てきた。追い払おうかと考えたこともあったが、「そんなことをすると、今度は縁起が悪い、不幸が訪れるのではと考えるようになり、怖くてできません」と苦笑いする。

大きく成長したひながこぼれ落ちそうな巣も複数見られる。「無事に巣立ってくれたら、やれやれですわ」と笑った。

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