兵庫県丹波篠山市で老舗和菓子店を営む圓増亮介さん(66)が、インターネットを介して自身オリジナルの楽曲を配信し、再生による収益を、篠山ロータリークラブを通じて子どもたちのために寄付する取り組みを始めた。ボーカルは人工知能(AI)が〝担当〟するなど最新技術を駆使。その性能には、「すごい」と目を丸くする。ネットを介した〝世界デビュー〟となり、すでにアジア圏を中心に海外からの再生もあるという。圓増さんは、「子どもが駄目になると人類は滅びる。自分の好きなことに、少しでも子どもたちのためになることをプラスできたら」と話している。
「Save Our Children(セイブ・アワー・チルドレン)」「Children‘s Smiles(チルドレンズ・スマイルス)」を配信。シカゴやイーグルス、ビリー・ジョエルにエリック・クラプトンなど、大好きな1970―80年代洋楽シーンの影響を色濃く受けた楽曲だ。
さまざまな音楽配信サービスを活用しており、アップルミュージックやユーチューブミュージック、スポティファイなど数十種類から再生できる。
それぞれで再生されるたびに1回0・5―1円ほどの収益になる。ある程度の金額に到達した段階で篠山ロータリークラブに寄付し、市内をはじめ、世界の子どもたちのために役立ててもらう。
再生する人の中には、インドネシアやベトナム、韓国などの人も多く、「まず世界とつながることがびっくり。洋楽を作っているつもりだけれど、やっぱりアジアンテイストが入っているのかも」と苦笑する。
音楽との出合いは中学時代。流行していた洋楽のとりこになり、ギターを手に取った。友とバンド「JEFF(ジェフ)」を組み、高校時代にはオリジナルをひっさげて臨んだ大会で優勝を果たした経歴も持つ。
家業の和菓子店を営みながら、音楽は継続。30年ほど前から、パソコン上で楽曲を制作する「デスクトップミュージック」にも取り組んでいる。
活動がさらに進化するきっかけとなったのが、インターネットや音楽生成AIの発達。作りためた楽曲を読み込ませることで、AIが人間と区別がつかないほど滑らかに歌い、編曲も想像を超える出来栄えという。「自分はプロデューサーのよう。『ここ、もっとこうして』と指示すると、見事にAIがやってくれる。聞いてもらえば、とても〝60歳を超えたジジイ〟が作ったとは思えないと感じてもらえるはず」と胸を張る。
チャリティーにつなげたのは、孫の存在が大きく、「あの笑顔を見ていると、どんなことがあっても元気になれる」と相好を崩し、「昔の人たちも自分たちのために頑張ってくれたのだから、次は自分も楽しくて、少しでも子どもたちのためになれば」と話している。