兵庫県丹波市山南町谷川に、本格的な天文台を備えた「Cafe&Bar 星の館」がオープンした。当面は昼間の営業で、国内トップクラスの大型天体望遠鏡のある空間を楽しんでもらいながら飲食を提供する。運営するノジマ設計工房(加古川市)の社長で、天体観測が趣味の野島弘通さん(69)は、「星や宇宙に思いをはせ、心を落ち着けてもらえる場所になれば。施設の生かし方をいろいろと考えていきたい」と話している。
元は個人宅で、天文台は2003年頃に設立された。三鷹光器(本社・東京都三鷹市)社製の65センチ反射望遠鏡が設置されている。同型の望遠鏡は規模、性能共に公共天文台用で、川口市立科学館(埼玉県)、ふれあいの丘天文館(栃木県大田原市)などで活用されている。
天体望遠鏡はコンピューター制御で、指定した天体の位置に合わせて直径8メートルのドームが自動で動くシステム。操作は野島さんが在店時に行う。接眼延長装置付きで、車いす利用の人など、座った高さからも見ることができる。
野島さんは、丹波市の環境が気に入り、青垣町西芦田でデイサービス施設「昭和の隠れ家」を10年ほど前から運営。一方、子どもの頃から星に興味があり、信州や四国に星空観察に出かけるなど、天体観測を趣味で楽しんできた。「星のソムリエ」(準星空案内人)の資格も持っている。星仲間の紹介で、谷川の天文台施設一式の所有を受け継いだ。
1階はカフェ(個室あり)、2階は天文台とカフェとして使用し、明かりを落として30―40分に1回、天文映像を流す趣向も用意している。
カフェは、同社員の能勢裕子さん(51)=丹波市=が中心となって運営する。ココアと黒糖入りの「黒カレーうどん」(ゆずシャーベット付き、980円)、信州産そば粉を使ったガレット(1100円)などがお薦めという。「日常を忘れ、ここでしか味わえない雰囲気を楽しんでほしい」と能勢さん。また、施設内には本格的なデジタルプラネタリウムもあるほか、元所有者が趣味で集めていた蓄音機やSL模型なども展示している。
場所は山南郵便局向かい。営業時間は午前9時―午後4時。火、水曜定休。天文台は金・土・日曜、祝日の営業で、午後1時半―4時半。入館料(2階)高校生以上1200円、中学生以下800円(別途ワンオーダー)。3歳以下無料。インスタグラムで情報発信している。