黄色いコスモスに似た野草「オオキンケイギク」が開花期を迎えている。道端や河原などで見られる北米原産のキク科の多年草。繁殖力が非常に強く、日本在来の野草を駆逐してしまうため、環境省は生態系に重大な影響を及ぼす恐れがある植物として、2006年に「特定外来生物」に指定し、栽培、運搬、販売、野外に放つことなどを禁じている。見た目が派手で美しいため、庭の花として栽培されたり、わざと刈り残されたりしているケースも散見されるという。
花は黄橙色で、直径5―7センチほど。花びらの先端はギザギザしている。八重咲きもある。草丈は50―70センチほど。葉は細長いへら状で、葉幅は広い部分で1センチほどになり、両面に荒い毛が生える。
日本には1880年代に観賞用に導入された。丈夫で地面を覆う効果が高く、道路のり面の緑化に利用されたり、苗の販売もされたりしたことから全国的に広がったとされる。日本生態学会が定めた、日本の外来種の中でも特に生態系や人間活動への影響が大きい生物のリスト「日本の侵略的外来種ワースト100」にも選定されている。
兵庫県丹波篠山市では今年も市民に駆除を呼びかけている。種子は10年以上生存することがあり、市は「花が種を付ける前に駆除することが大切」とする。根こそぎ抜き取るのが最も良い対処法だが、しっかり根を張り、抜き取りにくいため、「種が熟す前までに刈り取るだけでも生息域の拡散防止につながる。無理せず、できる範囲で」と呼びかける。
ただ、根や種が土の中に残っていると、また翌年に生えてくるため、「根気よく駆除を続けて」と訴える。
外来生物法により、駆除したオオキンケイギクは生きたまま運搬することが禁止されている。そのため、種が拡散しないよう注意を払いながら、天日にさらして枯れさせ、ごみ袋に入れて燃えるごみとして処分する。
市は19年度から啓発活動を開始し、21、22年度には生息状況を把握するため、市内全域で分布調査を実施している。「過去には大繁茂している場所もあったが、市民への認知度が徐々に高まり、駆除していただいていることで、以前より減少している」と話している。