「日本語能力試験N1」の語学力を生かし、職場のほか、兵庫県丹波市内で暮らすベトナム人女性の相談にボランティアで乗っている会社員、ブイ・テイ・トウ・フウエンさん(35)=同市=が、ひょうご国際交流団体連絡協議会の「草の根国際功労賞」を受賞した。「当たり前のことをしてきただけだけれど、それを認めてもらい、表彰してもらえて、すごくうれしい」と喜んでいる。
ハノイ工業大学を卒業後、2012年1月に「技能・人文知識・国際業務」の在留資格で来日。日本容器(山同市南町上滝)で働いている。今春から15人いる係の係長。市の「多文化共生推進懇話会」の委員として昨年度、基本方針の策定に関わった。
来日直後から市内の日本語教室で言葉のほか、文化や習慣を学び、19年に日本語を母語としない人の最難関の「N1」を取得。流暢な日本語で、新聞は難なく読む。自動車の運転免許も持っている。10年以上、日本に継続して在留し、安定した収入、素行の良さ、納税義務の履行など要件を満たし、22年に永住許可を得ている。
会社の後輩の日本語の勉強を週1回手伝っているほか、2年前から医療通訳を目指して勉強中。「症状、対処法、治療方法など、間違ったら大変なことになる。難しくて、もう少し勉強が必要だけれど、丹波で暮らすベトナム人が心細くなく生活できるよう頑張りたい」と話す。
地域ラジオ「FM805たんば」で市広報の記事をベトナム語で案内し、日本で暮らす外国人の困り事を日本語で発信した。また、同市国際交流協会が市から委託を受けている通訳、翻訳業務を担っている。「日本語スピーチ大会」に出場し、自身の異文化体験を発表するなど、日本人とベトナム人の架け橋、在住ベトナム人コミュニティーの核になっている。
5月末時点の外国籍市民は33カ国、1418人。647人がベトナム人で国籍別で最多。市の人口の100人に1人以上。
「私が来た時は市内には数十人ぐらいだった。その時は皆大体知っている人たちだったけれど、今は知らない人が多い」。ベトナム人が増える丹波市で、フウエンさんの語学力が助けになる同胞は多い。