高校で地域学ぶ「大学」 連携の女子大がプロジェクト 関わり続ける「関係定着人口」創出を

2025.06.13
ニュース丹波市地域地域注目

 

柏原高校生と共に探究学習に取り組む武庫川女子大学生=兵庫県丹波市柏原町東奥で

兵庫県丹波市と連携協定を結ぶ武庫川女子大学(同県西宮市)経営学部の学生が、丹波市を舞台に地域住民と交流を深めながら、地域の持続可能性を調査研究するプロジェクトを始めた。「たんば大学」と称し、地域住民を講師に招いたり、市内3高校生と交流したり、地域で開かれるイベントに参加したりし、地域の現状や課題を知る。その上で、高校生を対象にしたアンケート調査などを通じ、高校生がふるさとに抱く愛着などが、地元への定住や定着の意向にどのような影響を与えるのかを探り、都市部などに出ても地域づくりに関わり続ける「関係定着人口」の創出を目指す。また、自治会など役員の担い手に女性が少ない点に着目した調査にも乗り出す。

柏原高校生にアドバイスを送る藤井さん

同学部経営学科健康科学総合研究所研究員で、地域社会学が専門の藤井善仁さんのゼミによるプロジェクト。藤井さんは、京都府綾部市でも同様の取り組み「あやべ大学」を展開しており、距離的に武庫川女子大から学生が訪れやすい丹波市でもプロジェクトを始めた。

地元に住み続ける「定住」、進学などで都市部に出ても地元と関係を持ち続ける「定着」に関する意向調査を、市内3高校生を対象に行う。藤井さんによると、先行研究では、高校生は地元への愛着などを示す「シビックプライド」を持っているケースが多いという結果が出ているという。

藤井さんは「定住と同時に、定着という概念を考えなければならない。地元に愛着を持っていても、関わり方が分からない場合もある。進学などで地元を離れた後でも、地元に貢献するすべがあるんだということが分かれば、定着にもつながるのではないか」と話す。

「あやべ」との違いは、「たんば」の方が、大学生が主体的に活動する点という。すでに市内3高校との交流を始めており、「地域科学探究科」がある柏原高校では、同科2年1組の探究学習「丹BALⅡ」の授業にゼミ生15人が入り、生徒の探究学習のサポートをしている。より良い探究の仕方を共に考える相談者になり、アドバイスを送っている。

8月には、市内の自治協議会で住民参加型のワークショップを開き、会長の選出方法などに関する調査に取り組む。人口減少下でも役員のなり手に女性が少ない点に着目し、女性の社会参画について研究する一助にする。「女性の社会参画の少なさは、どこでも喫緊の課題。そこに切り込みたい」と話している。市は「丹波市には大学がなく、高校生と大学生が交流することに魅力を感じている。より年齢が近い大学生と高校生が話すことで、地域への愛着心が育つことにつながるのではないか」と期待している。

年度末には、調査などで得られた成果を発表する機会を持つ。

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