地図に示されたチェックポイント(CP)を巡り、制限時間内に獲得した得点を競うオーストラリア発祥のナビゲーションスポーツ「ロゲイニング」のプレ大会(同実行委員会主催)が、兵庫県丹波篠山市の大芋公民館を発着点に行われた。本番は12月6日。同市初の試みとなるため、本番に向けて課題を洗い出し、運営ノウハウを獲得しながら、PRにつなげていこうと企画した。「丹波篠山・山城ラン」と銘打ち開催。参加者は地図とコンパスを頼りに、大芋地区(11自治会)内の各所に設置されたCPを目指して駆け回った。
同地区担当の地域おこし協力隊員で、実行委員会代表の山中望さん(35)が企画した。
同市内をはじめ、京阪神、東京、神奈川、高知、広島などから、▽制限時間5時間クラス=25人(11組)▽同3時間クラス=28人(8組)▽同2時間(ファミリー)クラス=13人(5組)―の計66人が出場した。
CPは寺や神社、店舗、地蔵、記念碑、巨木など、まちなかに点在する分かりやすいものから、山中の古墳、櫃ヶ岳や雨石連山の山頂、山上城跡、立金城跡、豊林寺城跡の山城などにも設置。獲得できる点数は、体力を要する場所やスタート地点から遠いほど高く設定し、「走力も大事だが、ルート選びも勝負の分かれ目。頭脳を使う里山レース」(主催者)。
スタートの30分前に地図を配布。選手はチームメイトと、どのルートを巡っていくかなどの作戦を立てながらスタート時間を待った。スタート時には、スタッフや地元住民が両サイドにずらりと並んで花道をつくり、駆け出す選手らに「頑張ってー」「ご安全にー」などと声をかけ、見送った。
選手たちは、時折降る雨に打たれながらも、地図とコンパスを使って何度も現在位置やルートを確認しながらCPを探し、たどり着くと、現地をスマートフォンで撮影し、到着の証明とした。
3時間クラスに出場した小島幸子さんは、医療法人社団・紀洋会の同僚らでつくる山歩きグループの一人。仲間2人とチームを組んで、にぎやかにコースを巡った。「大芋はあまり知らない土地なので、探検気分を味わいたくて参加した。ロゲイニングは初めて。地図とコンパスを手にチェックポイントを探すのはワクワクしますね」とほほ笑んだ。
大芋公民館の駐車場には、地域住民による、野菜や焼き菓子、弁当、総菜、パンなどの販売やマッサージを提供するブースが約10軒並び、プレ大会を盛り上げた。
12月の本番では、レースの舞台を市東部全域に拡大。市内に約200あるとされる山城跡の一部を活用し、戦国史をなぞれる丹波篠山ならではの内容を思案中という。
山中さんは、「多くの地域住民やボランティアスタッフに支えられ、参加者から『楽しかったよ』と言ってもらえるプレ大会になった」と感謝し、「さまざまな立場の方々に山との距離を近づけてもらい、地方が抱える山の荒廃や獣害などの問題に関心を寄せるきっかけにしてもらえれば」と期待している。
続報・詳細はインスタグラム(yama_nozo30)。