兵庫県丹波市山南町和田に、チョコレート専門店「ゆりの花庵」がオープンした。宝塚市からⅠターンした隈本光一さん(65)が、一流ショコラティエが教える教室のプロコースを卒業し、独立開業した。一粒一粒に繊細なセンスが光るボンボンショコラが並び、早速、遠方からも客を呼び込んでいる。
ショーケースに並ぶ商品は約10種類。「チョコの中身にあたるガナッシュがおいしさの決め手」と言い、チョコづくりを学んだ師匠のレシピを元に、フレーバーの組み合わせでオリジナリティーを出している。丹波産の黒豆きな粉を黒蜜と合わせたものや、マロンペーストとシナモンパウダーを使った季節限定商品などがあり、和風の「青海波」や「うろこ模様」を表面に転写したものも。隈本さんは「一口のチョコで“世界観”を表現できる」とショコラティエの魅力を話している。
1個350円(酒入りのものを除く)。
隈本さんはショコラティエとしては異色の経歴。福岡県出身で、大手損保会社に勤め、転勤で全国各地に住んだ。医学、薬学について専門家並みに勉強漬けの日々を送ったという。
一方、子どもの頃から料理好きの一面も。フランス料理は独学ながらコースを振る舞う腕前で、長年習ってきた茶道では、和菓子や茶事の懐石も作るという。
定年後の仕事を考える中、娘のゆり花さんがチョコ好きだったこともあり、「本格的に学びたい」と一念発起。60歳で川路さとみさんの教室(東京)に入会し、計3年の基礎・プロコースを修了してチョコレート職人に転身した。コーヒーも修業し、自家焙煎で提供している。
丹波に移住したきっかけは、趣味のサイクリング。丹波路を走るうち、「こんなに風光明媚な所はない」とほれ込み、4年ほど前に現在の古民家を購入。茶室にできる部屋や、ハーブを育てられる畑もある“理想の物件”だったという。週末に通ってこつこつと壁塗りや外装工事を手がけた。店舗部分は、和田地域の職人たちが隈本さんの思いを形にした。
営業は水、木、金、土曜日の午前10時―午後5時。イートイン可。詳細はインスタグラム。





























