早朝の冷え込みが厳しくなる中、兵庫県丹波篠山市の地酒の一つ「秀月」で知られる「狩場一酒造」では、蔵人らが新酒の仕込みを始め、麹(こうじ)づくりに精を出している。
酒造りは気温の低い時季が適していることから、同社では毎年、10月下旬から仕込みを始める。
蒸しあがった酒米は、蔵人らが鮮やかな手つきで、すばやく温度が一定に保たれた「床室」へ。布の上に広げて冷まし、種麹をふりかける。天地を返して混ぜ合わせ、30・5度を目標にさらに熱を取る。夜は泊まり込みで2時間おきに温度をチェックするなど、麹づくりは常に温度管理との闘いだ。
ほとんどが昔ながらの手作業。同社の狩場一龍社長(61)は、「手作業の方が米の硬さや温度がわかる。いかに手間暇をかけるかと清潔であることが、
おいしい酒造りには大切です」とにっこり。杜氏の竹内直樹さん(52)は、「麹づくりは子どもを育てるよう。過保護になりすぎてもいけませんが」と笑顔で話していた。
新酒の販売は11月下旬から始まる。