「第45回篠山春日能」(篠山能実行委員会・篠山市主催)が4月14日、国重要文化財、春日神社能舞台(同市黒岡)で行われた。毎年、舞台を白く染めるはずの桜吹雪が今年はすでに葉桜。さらには小雨も降る中での能観だったものの、市内外から訪れた約400人は合羽を着込み、例年とは一味違った幽玄の世界を堪能していた。
能「半蔀」を梅若万三郎さんらが、狂言「寝音曲」を茂山あきらさんらが、能「鉄輪」を人間国宝の大槻文藏さんらが演じた。
半蔀は、源氏物語が舞台で、光源氏に対する夕顔の恋慕と自らの成仏への祈りがテーマ。また、鉄輪は、夫に裏切られた女が鬼女となり、「丑の刻詣で」を行うもの。いずれも能楽師が独特の所作で女性の悲しみを表現し、会場は息を呑みながら、神妙な面持ちで舞台を見守っていた。