「オール地元」で純米酒 63年ぶり新銘柄発売 その名は「丹波櫻」

2021.02.16
地域

24日から販売する「丹波櫻 特別純米」=2021年2月4日午後2時24分、兵庫県丹波篠山市井ノ上で

兵庫県丹波篠山市井ノ上の酒造メーカー「櫻酒造」が24日、63年ぶりの新銘柄「丹波櫻 特別純米」を発売する。丹精して育てた酒米、多紀連山からの井戸水、そして丹波杜氏や蔵人と、関わるモノ・ヒト全てが地元の、まさに「丹波篠山100%」。同酒造は、「ぜひ地域のみなさんに飲んでいただき、自慢してもらえるような酒になってくれたら」と笑顔で話している。

使用している酒米は、親会社の白鶴酒造が開発した「白鶴錦」。山田錦の兄弟品種で、同じく子会社の「白鶴ファーム」が市内30ヘクタールで栽培しており、夏場には櫻酒造の杜氏や蔵人らも育てている。

白鶴錦を使った酒は白鶴酒造などでも販売されているが、安定的な生産ができてきたことや、櫻酒造でも「自分たちのブランドとして提供したい」という思いが募り、新銘柄を誕生させた。同酒造は、「すっきりしながらもコクがある。辛口で、冷やしても温めても楽しんでもらえる」と太鼓判を押す。

昭和31年(1956)、山口県宇部市で設立された同社。明石市に本社を移した後、47年(1972)には丹波篠山市で城東工場を稼働。60年(1985)には本社も移転した。白鶴「まる」などの原酒製造をメインにしながら、自社ブランドの純米酒「櫻一文字」を展開し、根強いファンを獲得している。

普段の仕事は原酒の大量仕込みが基本だが、「丹波櫻」は慣れない少量仕込み。醪の発酵管理などに苦労しながら、日本三大杜氏の一つ「丹波杜氏」ならではの技術で逸品に仕上げた。

丹波杜氏で総括主任の藤木章文さんは、「自分たちで作った米を使うと、普段よりも気持ちが入る。ぜひファンになってもらいたい」と笑顔。工場長の鳥井浩司さんは、「丹波杜氏の里にある酒蔵として、酒文化がさらに広がるきっかけになれば」と話している。

720ミリリットルで1280円(税別)。3500本のみの限定生産。アルコール度数は15%以上16%未満。白鶴錦100%で、精米歩合は70%。櫻酒造直売所や全国の量販店などで販売する。

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