兵庫県丹波篠山市内で空を横切った鳥の姿に、「えっ」と声が出た。距離を保ち、望遠レンズをのぞき込む。そこにいたのは白いスズメだ。
眼球が黒いことから、色素が抜ける「アルビノ」ではなく、突然変異による「白化個体」とみられる。羽の一部は普通のスズメと同じ色をしている。
電柱のパイプをねぐらにしているよう。見とれていると普通のスズメが飛来。2羽でパイプの中に入ったかと思うと、ひょこっと一緒に顔を出した。
「すごい」と声が漏れる。普通、白い個体はいじめられたり、他の鳥に追い掛け回されることがあると聞くのに、この2羽はどう見ても「仲良し」だ。
ぴたりと寄り添ってみたり、それぞれ違う方向を見張るような仕草を見せたり。協力して生活を送っていることがありありと感じられる。
きょうだいなのか親子なのか、定かではない。ただ近くの人によると、以前から2、3羽の白スズメを見ていると
いい、「何世代かいるのでは」とのこと。事実だとすれば白い遺伝子が紡がれているのかもしれない。
争いが絶えない人の世。目の前の光景に、互いを認め合う大切さを思わずにはいられない。ふいに「ありがとう」という言葉が口を突いて出た。どうか元気で―。
【丹波新聞鳥部】(※コメント欄より、弊社の活動を命名していただきました)