地方から音楽を発信
シンガーソングライター 石田 裕之 (いしだ ひろゆき) さん (神戸市在住)
1980年 (昭和55年) 生まれ。 県立兵庫高、 神戸大法学部卒。 父の喜彦 (よしひこ) さんは、 篠山市岩崎出身。
神戸を中心に祖父母の住む篠山など県内でオリジナル曲によるコンサートを開く。 「裏声に癒される」 という声もあり、 和風ポップスと甘いルックスで、 ファン層が広がる。
弁護士をめざし、 大学の法学部に入学したが、 幼いころからの音楽への憧れの芽が吹き出し、 3回生のときに方向転換。 作詞、作曲、 演奏、録音などを一人でこなし、 パソコンで、 CDのジャケットのデザインも手がける。 「一般的に見れば、 挫折のように見えるかもしれませんが、 法律をやるよりも、 曲を作ることに面白みを感じ、 自分の味を出せると思いました」 と話す。
活動を本格化させたのは、 大学を卒業後。 「阪神淡路大震災復興の象徴といわれる神戸ルミナリエが資金不足で存続が難しいという声を耳にしました。 それなら、 自分の育った神戸を元気にするために役立てばと、 ルミナリエの応援ソングを作りました」。 歌は、 「聖夜」 で、 CDも手作りし、 売上げ金を寄付。 その後、 神戸まつりのキャラバン隊に参加し、 「PARADE」 (パレード) という自作のPRソングを歌った。
篠山は父の故郷。 小さい時から家族で毎週のように帰省した。 「近くに住むいとこと神社で遊んだり、 田植えや稲刈りの手伝いもしました」 と語る。 そんな胸のうちにしまい込んだ思い出や篠山の風景を歌にした 「みのり」、 百人一首の歌を取り込んだ 「いろはにほへと」 などの曲も手がける。 「お年寄りには懐かしく、 若い人には新鮮な響きがあるようです」
また、 小学校に呼ばれ、 講演活動も。 「好きなこと、 嫌いなことを早くから分けてしまわずに、 今与えられたことを一生懸命やってほしい」 と子供たちに話す。 それは、 将来、 どんな道でもやり抜く力が出ると信じているから。 「神戸や篠山など地方から全国に音楽を発信したい。 音楽を通じて全国から人を呼べる、 元気な地域づくりのお手伝いをしたい」。
(臼井 学)