新大江病院長兼理事長 竹村 周平 (たけむら しゅうへい) さん

2006.05.04
たんばのひと

公設民営で赤字解消
新大江病院長兼理事長 竹村 周平 (たけむら しゅうへい) さん (福知山市在住)
 
1949年 (昭和24年) 丹波市青垣町惣持生まれ。 神楽小卒業後三田学園中・高校、 京都府立医科大卒。 米ハーバード大研究員、 同医大講師などを経て府立与謝の海病院診療部長から2001年に国保大江病院長、 05年から現職。
 
 福知山市 (旧大江町) の新大江病院長兼理事長として、 高齢化の進む地域の医療充実に実績をあげている。
 五年前に当時の大江町立の国保大江病院長に就任したが、 赤字が続いていた。 「新聞の見出しにも大江病院という言葉の上に、 常に赤字という文句が載りました」 と苦笑する。 それに追い打ちをかけたのが、 地域に大きな被害をもたらした一昨年の台風災害。 災害復旧への経費投入で町の財政はひっ迫し、 病院経営もさらに苦しくなった。
  「福知山市との合併協議でも、 福知山市側は大江病院はいらないという判断。 町長や住民が反対し、 地域医療を守ろうと知恵を絞った結果、 一年前にベッド数72床の公設民営方式の新病院として、 スタートすることになりました。 理事や評議員に地域の住民らも加わっています」 と話す。 赤字解消の方策として、 手をつけたのがベッドの利用率の向上。 さらに、 職員給与体系を見直し、 公務員給与体系から民間型へ転換した。
  「今年3月の決算では、 一億円をかかえていた赤字が黒字に転じ、 ベッドや医療機器の更新に使うことができました。 60人余りの職員に一律20万円の特別手当てを出せたことが何より」 という。
  「入院せずに在宅で治療を受けたい」 という高齢者の願いを実現するために、 訪問診療を導入。 看護師や保健師と連携しながら、 医師が家庭を訪問している。 「あったかい医療が原点。 受け付けに意見箱を置いて、 利用者のみなさんの声を聞きながら改善しています」
 小学校を卒業後、 教師だった父 (元校長の竹村津さん) のすすめで、 進んだ私立中で寮生活をおくった。 「寂しかったですね。 でも、 実家に帰るたびに家族の愛情を感じ、 耐えられました。 今、 患者と接するなかで、 あの経験が自分にかけがえのないものをくれたようです」。

(臼井学)

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