住む人の環境を優先
(おくやま・りゅうへい)東京都在住
一九五九年 (昭和三四年) 篠山市生まれ。 篠山鳳鳴高、 東京大工学部卒業、 同大学院工学系研究科建築学専攻修了。 日建設計入社。 五年前、 大阪勤務の後東京へ異動。 一級建築士。
奥山さんが設計した 「目白ガーデンヒルズ」 は、 二〇〇六年度 「グッドデザイン賞」 (Gマークで知られる総合的デザインの評価制度) を受賞。 免震構造と、 壁全体が柱、 床全体が梁になる柱のない構造を組み合わせ、 広い空間を作り出したユニークな集合住宅で、 湾曲した敷地に思い切ったデザインの自信作だ。 黒田慶樹・清子夫妻が結婚後に完成を待って入居したと言われている。 「立地条件をどう生かすか、 これが一番の課題ですが、 狭い土地、 日陰になる環境など厳しい制約のあるほうが、 思い切った斬新なものができると実感しました」。
二〇〇三年度にも、 設計チームの一員として完成した、 六本木の街中に建つ二棟の高層ビル 「泉ガーデン」 がグッドデザイン賞を授けられた。 近くの六本木ヒルズなどと同様、 ビル内に居住空間とビジネス空間などすべての機能を備えて、 一歩も外に出ずに生活できる一大タウン。 「優先するのは、 住む人の環境。 営利の理論は二の次です。 耐震偽装なんて信じられませんね」。
イラストレーターだった叔父の影響で、 幼いころは将来漫画家になりたいと思ったこともあるそうだ。 母親の実家の時計店でプラモデルを売っていたので、 自分もよくプラモデルつくりをした。 「ものづくりが大好きな少年でした。 今の職業はぴったり」。
「建築家ですから、 『衣食住』 ではなく 『住』 が一番に来て、 実家が衣料店ですから 『衣』が続きます。食べるものは何でも構わない」と、ファッショナブルなスーツを着こなす。「時代の最先端を行くような建築家ではありませんが、 仕事に誇りをもっています。 ここまでで終わりということのないのが面白い」。
「篠山が大好き」という。毎年、正月には高校のサッカー部OBが集まり、 校庭で試合をする。 大学進学後二年間は、 旧篠山藩主青山公の元寄宿舎「尚志館」で過ごした。 (上 高子)