篠山層群と恐竜化石(上)

2007.04.20
丹波の恐竜

 丹波市山南町上滝で発見された恐竜化石が話題を広げている。 発見現場の篠山層群と恐竜化石について丹波自然友の会員の荻野正裕さん (丹波市氷上町) に寄稿してもらった。 3回にわたり連載する。

 1895年 (明治28年)、 山下伝吉により20万分の1比叡山図幅及び同地質説明書には、 「篠山盆地には古生層と共に中生層の存在が見られ、 その中に岩相が長門 (山口県) の硯石統 (スズリ石又はケンセキ) と呼ばれている地層によく似ている層がある」 と報告されている。
 山口県下関の赤間ケ関ではかなり古く800年以前からすでに硯石として赤紫色の石を掘り出し加工していた。
 源平の戦いで壇ノ浦に敗れた平家の建礼門院が安徳天皇を抱いて入水したとき、 懐にひそめられていた硯も赤間ケ石だったと推定されている。 また源頼朝が鎌倉鶴岡八幡宮へ奉納した蒔絵の硯箱(国宝)に収められたのも赤間硯と言われている。
 福岡の大宰府天満宮で私も購入し、 硯としてよりも、 今では標本として大切にしている。 近年再度訪れたときには仲々見当たらなかったが、 知人が探し出し購入した。 値段はなんと2万円もしていた。
 石質は緻密。 硯の表面はヤスリ状で凸凹が多く、 これによって墨が削れる。 磨墨発墨ともによく、 赤味をおびたその独特の色合いは大変美しく、 古来から文人墨客の間で愛玩された。
 先年訪れた愛知県の鳳来寺山にある黒色頁 (けつ) 岩も硯石に使われている。 この中に含まれる微小な黄鉄鉱の粒子が墨をすりおろす役目をしているなど違いがある。
 篠山盆地、 篠山層群の赤紫色の地層は輝緑岩質の凝灰岩の堆積である。 同じ凝灰岩でも中に10数?のもあり白色の帯になっている。
 神戸の白川峠、 現在は西神の住宅地になっているが、 かつては採掘地であった。 粉砕して、 磨き砂や歯磨き粉の原料になっていたという。 驚いたのにはビスケットの原料にも使っていたと聞いたが…。(荻野正裕)

<写真>赤間ケ石の硯(すずり)

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