習慣が運命を拓く

2007.05.31
丹波春秋

 裏長屋に大工が住んでいた。この大工、腕はいいが、酒が大好きな無精者で、まともに仕事をしない。そのため周りから見放されていた。そんな暮らしを案じた家主が提案をした。「毎晩、酒を一本つけてやる。その代わり、朝起きると、長屋を一軒一軒回って、台所や屋根などが傷んでいれば無料で修繕しろ」。▼この提案をのんだ大工は、毎日、道具をかついで修繕に出歩いた。すると、「感心な奴だ」と長屋の評判を集め出した。その評判は四方に広がり、「こっちにも来てほしい」と引っ張りだこになった。仕事に張り合いを持つようになった大工は、弟子を2人、3人と抱え、堂々たる棟梁になった。▼このストーリーは、「意識が行動をつくり、行動が習慣をつくり、習慣が体質をつくり、体質が運命をつくる」という言葉の典型例だ。▼酒にありつきたいという意識が、無料の修繕という行動を呼び起こし、それが毎日繰り返されて習慣化されると、周囲の評価が高まり、仕事に張り合いを感じる体質になって、大工の棟梁という運命を切り開いた。▼篠山市が、子どもに健康づくりをうながす冊子を作った。「朝ご飯を毎日食べよう」「早寝早起きをしよう」などと、正しい生活習慣を身につけることを呼びかけている。これらの習慣が及ぼす効果は、健康だけにとどまらない。(Y)

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