県立人と自然の博物館 (三田市) は2月28日、 丹波市山南町上滝の恐竜化石発掘現場で、 ティタノサウルス形類のものとみられる未使用の歯の化石が見つかったと発表した。 恐竜は生涯で何度も歯が生え替わる。 見つかった歯は、 生える前のあごの骨の中にあった状態で埋没し、 その後抜け落ちたと考えられるという。 同博物館の三枝春生研究員は、 「今後の調査で、 あごの骨が見つかる可能性が出てきた」 と期待を示した。
見つかった化石は、 長さ4・5センチ、 幅1センチの先のとがった細長い円柱形。 表面の特徴などから竜脚類のものと考えられる。 地層の影響で曲がっているものの、 何かを食べてすり減った痕跡がない新品。 未使用の恐竜の歯が見つかるのは、 国内では初めてという。
三枝研究員は 「未使用の歯が見つかるということは、 あごの骨も近くにあるということ。 付近で多数の化石が見つかっている、 ティタノサウルス形類のものと考えるのが自然」 と説明。 見つかった歯は調査が進む大型草食恐竜と同一個体のものであるという見方を示した。
今後の調査であごの骨が見つかると、 頭部の復元につながる。 すでに見つかっている尾や胴体部分の骨とあわせ、 三枝研究員は 「ティタノサウルス形類の進化の過程を考えるのに貢献できるのでは」 と話した。
この日までに調査は終了し、 化石が含まれている泥岩を石こう布で包み 「プラスタージャケット」 にする作業が進められている。 主に3個のかたまりにする予定で、 作業が順調に進めば今週あたまにも搬出する見通し。