大山小学校 (篠山市大山新、 足立仁校長) の6年生 (13人) が、 同市大山下の篠山層群下部層 (約1億4000万―1億3600万年前) で、 恐竜のものとみられる化石を発見。 県立人と自然の博物館 (三田市) が調査した結果、 獣脚類 (肉食恐竜) の歯と判明した。 授業の化石発掘体験で見つけたもので、 7月30日、 同校で会見した担任の酒井達哉教諭は、 「大山竜」 と命名。 「化石を生かした教育のカリキュラムが広がり根づいていけば。 地域を愛する心をはぐくむことにもつなげたい」 と話している。
同博物館の三枝春生主任研究員によると、 発見された歯は長さ約6ミリ。 肉を食べやすいようにのこぎり状になっており、 獣脚類の特徴が見られる。 歯根が残っていないことから、 自然に抜け落ちた脱落歯とみられる。
種別は特定できないものの、 歯の大きさから体長は1―2メートルと推定。 獣脚類の歯は全国で20例ほど発見されているという。
児童たちは7月10日、 総合的な学習の一環として、 丹波竜や小型ほ乳類化石発見者の足立洌さんを講師に招き、 現場で発掘体験をした。 ハンマーとルーペを手に約6平方?で発掘を行い、 植物や二枚貝、 巻き貝などの化石を発見。 授業も終わろうかというころ、 足立希羅君が黒く輝く化石を見つけた。 化石を見た足立さんは 「これは大変なことになる」 と声をあげたという。
子どもが恐竜化石を発見した例は他にもあるが、 授業中に見つけたのは、 今回が初めて。 発見現場は、 市清掃センター近くで、丹波竜の発掘現場から約3キロ。
同市では昨年10月に足立さんが日本最古級とみられるほ乳類をはじめ、 トカゲの仲間などの化石を発見。 化石保護条例も制定され、 さらなる化石発見が期待されていた。
同校で開かれた記者発表には、 児童たちと酒井教諭のほか、 足立さん、 三枝主任研究員、 酒井隆明篠山市長、 河南秀和教育長らが同席した。
三枝主任研究員は、 「地元の人や子どもたちが継続的に発掘を行うことでさらなる発見が期待できる」 と話している。
小学生と本格的な発掘を行ったのは初めてという足立さんは、 「専門家ではない子どもでも、 化石を見つけることができると分かったと思う。 家の中で過ごすことが多い今の子どもたちに、 大きな刺激になったのでは」 と後進が生まれつつある現状に目を細める。
河南教育長は、 今後、 教育に化石を生かしていくことを検討していくという。
■発見現場を重点保護区域に指定
化石発掘を受けた篠山市は30日、 現場となった篠山川の川代橋から上流250メートル (約20000平方メートル) を 「市脊椎動物化石保護条例」 に基づき、 重点保護区域に指定した。
区域内では、 ▽化石、 土砂の採取▽建築物等の新築、 改築▽宅地造成、 土地の開墾―などを禁止。
ただし、 ▽市長が認める学術研究、 その他公益上の理由による許可をした場合▽非常災害のための必要な応急処置を行う場合▽管理行為などのうち、 化石に支障がないもの―などは、 禁止事項の適用を受けないとしている。
■獣脚類の歯「のこぎり状」
今回発見された獣脚類は、 肉食で2足歩行の恐竜の一種。 有名なものでは、 映画などにもしばしば登場するティラノサウルスなどがあげられる。
同じ獣脚類でも大きさはさまざま。 全長10数メートルとされるティラノサウルスから、 全長1―2メートルほどとされるヴェロキラプトルなどがいたとされる。
獣脚類の歯は、 のこぎり状の 「鋸歯 (きょし)」 が特徴。 「大山竜」 の歯は先端部分がかけているものの、 しっかりとぎざぎざが確認できる。
獲物に噛みついた際などに折れた歯が化石になる場合もあるが、 今回は生え替わりなどで自然に抜け落ちたものとみられる。
丹波市山南町上滝の丹波竜発掘現場でも獣脚類の歯は十数本発見されている。