25日午後8時前、 県立柏原病院。 篠山市の1歳9カ月の男の子が救急車で搬送されてきた。 「けいれんしたかと思うと、 ぐったり青ざめてきた」 と母親 (31)。 酒井國安医療監は、 熱性けいれんと診断。 点滴などをほどこした。 過去に2度三田市民病院に救急搬送されたことがあり、 県立柏原は初めて。 救急車に同乗してきた祖母 (63) は、 「柏原は、 三田よりずいぶん近い。 小児科があって助かった」 と話した。
丹波地域では、 同病院と兵庫医大篠山病院で小児の2次救急輪番を担っている。 特殊な疾患や重篤患者以外は、 ほとんど丹波医療圏域で収容できる。 養父市の八鹿病院は、 7月から小児科が休診、 三田市民病院、 西脇市民病院の常勤医は2人。 県立柏原に6人、 篠山に1人の丹波地域は、 夜間の軽症患者の受け皿が未整備という問題はあるものの、 恵まれた環境にある。
成人は事情が異なる。 大塚、 篠山、 岡本、 にしき記念の4民間病院は医師数の確保を含め医療体制を維持しているものの、 公立病院で丹波地域の中核の県立柏原、 公的病院の柏原赤十字は依然医師不足に苦しんでおり、 丹波市では救急搬送される患者の2人に1人が市外搬送されている。
柏原赤十字は常勤医が内科2人と歯科口腔外科の1人のみに減ったところから徐々に増やし、 今春外科医2人を招へい。 9人になった。 今春、 県は神戸大と協定を締結、 3年間の県立柏原への支援を取り付けた。 昨年18人まで減った医師数は、 現在22人。 診療の要の内科が3人増え7人となり、 開業医からの紹介患者を積極的に受け入れ始めた。 毎日20人前後だった入院患者は、 50床が満床になるまでになった。
4年前と比べ、 両病院で30人近く医師が減っている。 丹波市消防本部によると、 両病院の医師が増えた4月以降も搬送患者の受け入れ状況にほとんど変化はないという。
両病院は、 「若手医師不足」 という問題を抱えている。 20歳代がおらず、 30歳代も、 柏原赤十字に1人、 県立柏原に6人いるだけだ。 中堅以上の医師が、 疲労を抱えながら診察を続けている。
県内では、 小野、 三木両市民病院が3年後の統合で合意、 加古川市民病院で15人いた内科医が7月から1人に、 明石市民病院も消化器内科の医師8人が一斉退職するなど、 勤務医の公立病院離れに拍車がかかっている。
神戸大の関係者は言う。 「できる限りの支援をするが、 期限付きだ。 北播、 東播、 我々には多くのミッションがある。 丹波は2年でめどをつけたい。 2年で立て直すために、 将来を見渡し、 みんなでよくよく話し合ってほしい」。
(足立智和・おわり)