県知事選特集「行革」

2009.06.18
ニュース

 県知事選挙がきょう18日、 告示される。 少子高齢化による人口減少、 100年に一度といわれる経済不況、 県民の命にかかわる地域医療の崩壊など、 閉塞感が漂う中で、 県政に何が求められているのか、 課題を探った。

 改革をしなければ2018年度までの12年間で、 合計1兆2000億円以上の歳入不足が予想される―。 2007年秋、 県が行財政改革のたたき台としてまとめた 「新行政構造改革推進方策 (新行革プラン)」 の企画部会案で、 丹波県民局の廃止、 丹波年輪の里 (丹波市) とたんば田園交響ホール (篠山市) の各市への移譲などが示された。
 市町からの 「変化が急すぎる」 などの批判を受け、 その後にまとめられた新行革プランには、 丹波県民局の廃止や県立施設の市への移譲は盛り込まれなかった。 また、 08年度から実施予定だった福祉・医療事業の▽老人▽重度障害者▽乳幼児▽母子家庭―への医療費助成4事業の見直し時期を09年7月まで延期した。
 その09年7月が迫る。 見直しの中身は、 主に低所得者に重点を移し、 対象者の基準を絞ったり、 負担金を増額している。 今回の制度改正で、 老人医療費助成事業においては丹波市で約1000人、 篠山市で約500人が対象から外れるとみている。 両市はすでに制度改革について周知に努めているが、 本当の意味でのリアクションは 「これから」 と、 身構えている状況だ。
 丹波市は重度障害者の入院、 乳幼児医療の3歳児未満児と入院については、 従来どおり市が全額助成する。 市健康部は 「県の助成が削減された分の全てを市でカバーするのは無理。 どこに重点を置き、 何を削るのかの選択が迫られる」 と話す。
 市にとっては福祉・医療分野以外にも、 農業や山林振興など事業規模の大きなものは今なお県や国に依存する部分は大きい。 「これまで県の助成や補助で成り立っていた事業を市でカバーする余力がなければ、 県の方針に追随するしかなく、 結果、 市も事業をとりやめるケースもある」 と話す市担当者もいる。 市民サービスは 「確実に低下する」 のが前提だ。
  「国の制度が変われば、 市の収支は確実に狂うが、 県の行革に影響はさほどない」 とこぼす市職員。 県は行革推進条例を定め、 それに基づき3年ごとに行革の総点検を行う。 丹波県民局の存続や県立施設の県への移譲が、 再び議論のまな板に載る可能性はゼロではない。
 行革プランをとりまとめた県新行政課は言う。 「県は今後、 広域的、 専門的な分野を担い、 市との役割分担が明確になってくるだろう。 国の地方分権の動き、 さらには道州制の問題などをひっくるめて、 市との関係も考えながら県の行革は進んでいくことになるだろう」   (芦田安生)

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