篠山市の東南部にあり、 三田市、 猪名川町、 大阪府と接している後川 (しつかわ) 校区。 人口は、 丹波地域の校区で最少の515人。 65歳以上の高齢化率は約37%。 後川小学校の児童数は14人で、 来春、 雲部、 日置小学校との統合が決まっている。 「小学校がなくなれば、 まちがすたれるのでは。 嫁さんや移住者も来なくなるかも、 との声がある」 と同校区自治会長会の小倉久輝会長 (70)。
同校区の人口はここ10年間で約100人減った。 過疎化による影響は小学校の閉校以外にも現れている。 農業の担い手不足による放棄田の増加。 特産の茶栽培の面積も小規模化している。 さらに、 急峻な山腹が多く、 鳥獣害防止の柵や網を張る作業は高齢者には困難。 自治会の戸数が少ないため、 市から 「平等に」 割り当てられる地区委員の負担が増し、 高齢者1人が何役も担うケースもある。
昨年の県内の人口増減をみると、 神戸市などの都市部では増加、 東播磨以北の地域ではすべて減少している。 県はこの 「人口の偏在化」がさらに進むとみている。 丹波地域の将来推計人口は2005年の約12万人から55年には約7万人に減ると見込んでいる。 また、 高齢化率は05年の26・4%から55年には42・4%となり、 現在の後川校区よりも高くなる。
県は校区単位で住民によるまちづくりを進めようと、 活動拠点の整備費や活動費を助成する 「県民交流広場事業」 を2006年から5年間進めている。 後川校区では、 助成の受け皿となる、 まちづくり協議会を今年度中に立ち上げる計画。 閉校後のことを検討する時期と重なり、 小倉会長は 「まちづくりを考える大きな転換期」 と話す。
県は、 県民交流広場事業について、 地域の課題やニーズに根ざしたコミュニティづくりに取り組むこととしている。
7集落で構成する後川校区は、 運動会や夏祭り、 敬老会など、 校区単位で行う行事が多く、 まとまりが強い。 そんな同校区にとって、 コミュニティづくりの基にすべき 「地域課題やニーズ」 は、 住民ではどうすることもできない道路整備にある。 例えば、 統合後の小学校までの峠道は、 急坂で冬には凍結する。 狭いトンネルもあり、 学校行事への保護者、 住民の参加は大きな負担となる。
小倉会長は 「こんな財政難の時代に、 と思われるかも知れないが」 としながら、 訴える。 「道路整備を進め、 通勤しやすくすれば、 阪神間に近いので、 残ってくれる若者も増えると思う。 市の合併で中心部は良くなったが、 後川は何も変わっていない。 取り残された感がある。 道路整備は切実な願いだ」。 (坂井謙介)