7月後半からの長雨と日照不足の影響で、 水稲や小豆などの作柄に影響が出始めている。 丹波農業改良普及センターは 「今のところ目に見える被害は出ていないが、 今後、 収量や品質への影響が出てくる可能性が高い。 作柄が良かった昨年並みは厳しく、 平年と比べても悪いのではないか」 と見ており、 「コメは今からでも実が入る。 手間をかけて水管理をしっかりとすることで、 被害が軽減できる」 と呼びかけている。
神戸海洋気象台の柏原地点の調査によると、 7月後半は降水量が平年比165%、 日照時間が平年比29%。 8月1―10日は降水量が平年比723%、 日照時間が平年比59%だった。 10―20日にかけては降水量は平年の3分の1程度、 日照時間はほぼ平年並みに戻ったが、同センターは「今から日照りが続いたとしても、 さほど状況は変わらないだろう」 と見ている。
同センターは水稲への影響について、 実が入っていなかったり、 実が入っても発育が不十分な未熟粒になる可能性もあるという。 また、 倒伏している稲をみると、 稲の真ん中あたりからの 「腰折れ」 が目立つ。 日照不足によるバランスを欠いた成長によって稲の途中が 「ひょろっと、 細長くのびた」 ためという。
小豆は通常、 7月下旬に播種するが、 雨の影響で時期が遅れ、 8月20日にも播種している農家が見られたという。 丹波大納言小豆の生産者で、 「黒さや会」 の柳田隆雄さん (72) =春日町東中=は、 「こんなことはこれまで経験したことがない」 と、 今年の長雨に衝撃を受けている。
柳田さんによると小豆は、 「極日 (ごくじつ)」 と呼ばれ、 毎年カンカン照りになる7月20日前後に植え付けをするのが一番良いとされているが、 今年は極日になっても雨が続き、 しばらく前に植えておいた種も発芽せずにくさってしまったという。 「おそらく例年の半分も取れないと思う」 と肩を落とす。
黒大豆は、 7月中―下旬に行う2回目の 「土寄せ」 作業ができていない畑が多いという。 土寄せは、 若い根を上から出すための作業で、 できなければ根の張りが悪くなる。 また、 日照不足で光合成ができていないため、 十分な栄養が蓄えられておらず、 実のつき方が心配されるという。
(芦田安生、 森田靖久)