うつ病の早期発見に一般診療科医と専門医がネット

2010.08.03
ニュース

 うつ病患者の早期発見・早期治療につなげようと、 丹波・篠山両市医師会らが一般診療医と精神科医の連携をスムーズにするネットワーク 「丹波地域G―Pネット」 を立ち上げた。 両市医師会の代表でつくる連携検討委員会が、 うつ病の疑いのある患者を紹介するシステムを構築。 まとめた手引きに添って患者を診ることで治療を標準化する。 丹波地域は、 人口あたりの自殺率が県平均、 全国平均より高く、 自殺予防につなげる。
 手引きは、 一般診療科医が精神科医療機関と連携しやすいように、 スクリーニング (問診) 様式と基準、 精神科医への紹介手順、 紹介様式、 精神科医療機関一覧を掲載している。
 一般診療科医は、 不眠が2週間以上続いている患者、 倦怠感や頭痛、 腰痛などがあり、 かつ不眠が続いている患者を対象に、 睡眠障害や、 食欲低下の度合いなど5項目のスクリーニングを実施する。
 問診の結果、 該当項目が多い場合は、 患者の同意が得られれば精神科を紹介。 患者の同意が得られない場合は、 抗うつ剤などを1カ月投与し、 効果がなければ精神科を紹介する。 該当項目が少ない場合は、 抗うつ剤などを1カ月投与し、 効果がなければ精神科を紹介する―などの振り分けを行う。
 紹介をうけた精神科医は、 患者を診察し、 一般診療科で治療可能なうつ病であれば、 治療についてアドバイスする。 一般診療科で困難な場合は、 精神科で治療し、 治療状況などを一般診療科へ報告する。
 患者や家族が地元の精神科、 診療内科の受診を嫌うことも考えられるため、 三田市、 福知山市の医療機関と連携し、 患者の早期発見、 適切な治療に努める。
 手引きをまとめた連携検討委員会委員長で内科医の野上壽二・吉見診療所長は、 「開業医が、 早い段階で気づき、 専門家に紹介することが重要。 近隣市の医療機関の協力も得られ、 ネットワークの規模は大きいものになった。 自殺者が即減るかどうかは分からないが、 5年、10年と続け、結果を解析したい」 と話している。
 厚生労働省の人口動態統計によると、 2004年度からの5年間で、 丹波市で111人、 篠山市で48人が自殺している。 07年の自殺率 (人口10万人に対する自殺者数) は、 丹波市が27・4、 篠山市が29・3。 国の24・4、 県の23・7を大きく上回っている。
 内閣府統計による09年の自殺者数は、 丹波市が20人 (男13、 女7)、 篠山市が13人 (男6、 女7) だった。

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