二枚貝食べる草食のヌートリア

2011.03.10
ニュース

  草食動物の 「ヌートリア」 が淡水産二枚貝の 「ドブガイ」 (イシガイ科) を食べていることが、 篠山城跡南堀 (篠山市北新町) で確認された。 丹波新聞社の太治庄三記者が、 捕食シーンの撮影に成功したもので、 専門家は 「ヌートリアがドブガイを食ベているということを実証する写真が撮られたのは、 おそらく全国でも初めてでは」 と話している。

 顔を水面に出した状態で、 前足をもぞもぞと動かし、 水底の泥の中に潜むドブガイを探り当てると、 両手でしっかりとつかんで鋭い門歯で殻を割り、 中身を引きずり出して食べていた。

 記者が観察していた午後1―3時の約2時間で、 5個のドブガイを食べた。 堀の周囲の岸辺には、 ドブガイの殻がかたまって捨てられ、 貝塚のようになった場所が多数見られる。 地元住民によると、 これもヌートリアによるものという。

 ヌートリアは、 水辺の植物の葉や茎、 地下茎などを食べるとされる。 ドブガイを食べることは全国的にあまり知られていないが、 岡山県のため池や愛知、 岐阜両県の木曽川などで報告があるほか、 篠山でも、 以前からドブガイを食べることは、 一部の地元住民の間で知られていた。 赤穂郡上郡町などではモクズガニを食べたという報告もある。

 人と自然の博物館 (三田市) の三橋弘宗主任研究員は、 「ヌートリアがドブガイを食べるのは、 えさの少ない冬場の一時的な行動かもしれない。 もともとは草食性なので、 食べても十分に消化できていない可能性がある」 と話している。

【ヌートリア】ヌートリア科で、 南アメリカ原産の大型げっ歯類。 生態系などへの影響が懸念される特定外来生物に指定されている。 水辺に暮らし、 土手などに巣穴を掘る。 1940年ごろから、 軍の防寒用の毛皮目的で飼育されていた。 しかし敗戦とともに需要がなくなり、 処分に困った多くの個体が野に放たれた。 頭胴長約60センチで、 尾を入れると1メートルにもなる。 体重約7キロ。 特定の繁殖期はなく、 年に2、 3回出産。 1回に平均6子産む。 寿命は野外で5―10年といわれている。

 

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