スズメバチに注意を 今年度丹波市内で3人救急搬送

2011.10.13
ニュース

 秋はハイキングやキノコ狩りなど、 野山に出かける機会が多くなるが、 大型の 「スズメバチ」 にご注意を―。 今月4日、 篠山市で83歳の男性が、 草刈り作業中に 「キイロスズメバチ」 に襲われ亡くなる事故が発生した。 ハチの生態に詳しい、 人と自然の博物館 (三田市) の大谷剛主任研究員 (63) は、 「春に1匹の女王バチから始まった巣は、 秋に最大規模となり、 攻撃性を持つ働きバチの数も最も多くなる。 人との遭遇率も上がり、 刺傷事故が起こりやすい。 寒くなり活動が鈍る10月末ごろまでは注意が必要」 と話している。

 毎年、 全国でハチの刺傷による死亡事故が発生しており、 厚生労働省の調査によると、 昨年、 ハチに刺されて死亡した人の数は20人 (男16人、 女4人) で、 マムシなどの毒ヘビの咬傷 (こうしょう) による死亡者数4人と比べ、 大きく上回っている。 また、 丹波地域におけるハチの刺傷による今年の救急搬送者数は、 今月7日までに、 篠山市で7人、 丹波市で3人 (両市消防本部まとめ)。

 篠山市消防本部救急隊によると、 スズメバチに刺されても、 ハチ毒アレルギーを持っていない人であれば、 強い痛みやかゆみ、 腫れなどの症状でおさまるが、 同アレルギーを持つ人は、 極めて強い急性アレルギー反応のひとつ 「アナフィラキシーショック」 を発症し、 死に至る場合があるという。 その症状は、 全身のじんましんやめまい、 気道の腫れによる呼吸困難、 意識障害などで、 その症状が表れるのが短時間 (数分―30分以内) であるほど重症化するという。

 また、 刺された経験を重ねるごとに症状は重くなるといい、 「これらのアレルギー反応の兆しがあれば、 すぐに119番して」 と呼び掛けている。

 大谷主任研究員は、 「襲われた際は、 近づいてきたスズメバチを追い払おうと手を振り回したり、 急な動作をしたりするのは厳禁」 と注意を促し、 「狙われやすい目や口を守るように顔を両手で覆い、 ゆっくりとした動作で後ずさり (秒速10センチ) しながらその場から離れるとよい」 と話している。

 スズメバチの仲間は、 日本には16種類が生息しており、 中でもオオスズメバチとキイロスズメバチによる人身事故が最も多い。

写真・地面に落ちた熟柿を食べに飛来したオオスズメバチ=篠山市今田町で

関連記事