病気で失明した元中学校教諭の酒井雅和さん (51) =篠山市東吹=が5月31日、 和田中学校に招かれ、 2、 3年生に教鞭をとった。 同校の人権教育の一環。 約10年ぶりに教壇に立った元社会科教諭の酒井さんは、 2年生に日本史、 3年生に公民を教えたほか、 生徒と掃除や給食を共にした。 「見えなくなって初めての授業なので、 教育実習生みたいに緊張しました」 と笑顔で話していた。
酒井さんを招いた同校の人権教育は2年目。 話を聞くだけでなく、 肌身を通して交流する中で互いの理解を深めようと、 今回は授業などを取り入れた。
日本史の授業では、 奈良時代の律令制度を扱い、 当時の人々の苦しい暮らしについて説明。 スクリーンに映しだされた奈良・東大寺の大仏を見せ 「この大仏は何」 「誰が作ったの」 と質問し、 和やかな雰囲気で授業を進行した。
授業を聞いた藤原羽哉人 (はやと) 君は 「わかりやすくて楽しく、 昔の大変な暮らしを知ることができた」 と話した。
2年の公民では日本国憲法の平等権について授業。 1年生には、 失明したのち、 周りの支えで立ち直るまでの話をした。
酒井さんは 「昨年に比べ、 引率の生徒たちの指示が明確になった。 徐々に障がい者への理解が深まっているのかなと感じる」 と話し、 「自分は失明しても、 人と関わることで前向きになった。 生徒のみなさんにそれが伝われば」 と話した。