まもなくロンドン五輪が開幕―。 女子バレーボールの全日本代表に選ばれた井上香織選手 (29) =デンソー・エアリービーズ、 豊岡市出石町出身=の母校、 氷上高校はお祝いムードに包まれている。 生徒会は、 井上選手を激励する日本国旗を用意し、 全校生徒にメッセージを呼びかけた。 また、 インターハイを間近に控えた現役部員たちは、 「自分たちも先輩に負けないようにがんばる」 と気合を入れている。
氷上高校から五輪選手が出るのは、 バルセロナ五輪に出場した苗村郁代さん、 石掛美知代さんに次いで3人目。
高校時代、 井上選手を指導した高見諭コーチ (73) によると、 当時からレシーブもできる攻守そろったセンタープレーヤーで、 コート上でチームを引っ張るゲーム主将を務めた。 「何でもできる、 しかも長身の選手は多くいない。 よいセンタープレーヤーとして育てなければと思ったし、 高校バレー界では全国トップレベルの選手になってくれたことでチームも救われた」 と当時を振り返る。
今も総体や春高バレーの県予選時には、 他のOGと一緒に母校の応援に駆け付けてくれる。 3日には井上選手を招いた壮行会が開かれる予定だったが、 天候悪化で臨時休校となり、 中止に。 高見コーチが電話で、 「健闘を祈る」 と話すと、 元気そうな声で 「がんばってきます」 と答えたという。
高見コーチは、 「体の線の細い選手だったが、 実業団でも実力を伸ばし、 日本を代表する選手に成長してくれた。 五輪選手を育てるのは、 指導者として一番名誉なこと。 監督として指導した最後の年代の選手でもあり、 感慨深い。 いい選手に巡り合えたのは幸運だった」 と話している。
国旗の寄せ書きを用意した生徒会長の樋口和希さん (3年) は、 「本人に直接手渡し、 『誇りに思っています』 と言いたかった」 と残念がる。 「テレビで 『かっこいい』 と思って見ていた。 五輪では3位入賞してほしい」 と話す。 寄せ書きは郵送で届ける予定。
現役バレー部の山本紗良主将 (3年) は、 「ブロックで世界のエースをとめてほしい」 と期待。 部員らは8月のインターハイでのメダルをめざす。 「1年前からメダルを目標に掲げてきた。 目標に向かっていくことしか考えていない。 先輩に負けないようにがんばりたい」 と力を込めた。
【井上香織選手】氷上高校時代は3年生時にゲーム主将を務め、 春高バレー、 インターハイに出場。 全日本高校選抜にも選ばれた。 同校を卒業した2001年、 プレミアリーグのデンソー・エアリービーズに入団。 高いブロック力を生かして活躍し、 07年のプレミアリーグでブロック賞・ベスト6賞を受賞。 08年の同リーグでチーム初の準優勝に貢献した。 09年に日本代表に初選出され、 10年の世界選手権で日本の32年ぶりの銅メダル獲得に貢献。 同年―11年に右肩脱臼による2度の手術を乗り越え、 ロンドン五輪代表選出の座を獲得した。 身長182センチ。