柏原ロータリークラブの呼びかけにこたえ、絶滅した淡水魚 「ミナミトミヨ」 を探していた青垣いきものふれあいの里友の会会長の芦田勲さん (70) =丹波市青垣町東芦田=が、 自宅の井戸でミナミトミヨならぬナガレホトケドジョウを捕まえた。 60年ほど前に、 捕まえた川魚を放した思い出をたどり、 「もしや」 と思い調べたところ、 思わぬ闖 (ちん) 入者がいた。 芦田さんは、 「古い井戸が残っている家は、 ひょっとすると、 ということがあるかもしれない。 探してみては」 と呼びかけている。
井戸は、 35年ほど前に倉庫を建てる際に、 埋めこそしなかったものの、 鉄のふたで閉めた。 以降は、 年に数回ふたを開けてごみを取り除く程度で、 ほぼ使っていなかった。
小学生だった60年ほど前に自宅近くの川で捕まえたアブラハヤなどを放した記憶をたどり、 「もしかしたら、 ミナミトミヨが混じっていて、 『取り残された空間』 にいるかも」 と遊び心から 「捜索」 に乗り出した。
「魚が住む環境ではないだろう」 と思いつつも、 エサを入れたペットボトルの捕獲わなを深さ5メートルほどの井戸に沈めたところ、 翌日に1匹が、 その翌日にももう1匹がかかった。 「ミナミトミヨではなかったが、 生き物がいたことに、 ただびっくりした」 と振り返る。
ナガレホトケドジョウは、 環境省のレッドデータブックで絶滅危惧1B類、 県版では、 Bランク。 丹波市内では生息が時々確認されているが、 希少な淡水魚。
近くの川の水の増減で、 井戸の水位も変わることから、 「どこかでつながっていて、 紛れこんだのだろう。 井戸で繁殖しているとは考えにくい」 と芦田さんは見ている。
また、 「ミナミトミヨの目撃記録がある氷上町成松で、 古い井戸が残っている家は、 探してみると、 世紀の大発見につながるかもしれない」 と、 笑った。