絶滅種の淡水魚「ミナミトミヨ」を捜せ

2012.07.15
ニュース

 丹波市内で昭和初期まで生息し、 1960年代に日本産魚類では絶滅種第1号の淡水魚と指定された 「ミナミトミヨ」 の捜索活動を、 柏原ロータリークラブ内で組織された 「ミナミトミヨわくわく委員会」 (保尾洽三委員長、 13人) が行っている。 これまでに寄せられた情報から市内の湧水地などを調べている。 今後は周知活動として講演会なども開く。 保尾委員長は 「見つかれば、 一昨年発見され、 話題を呼んだクニマス (国鱒) 以来の出来事になる。 住民はミナミトミヨの名前は知っていても、 その生態を知らないことが多い。 一連の活動で伝えられれば」 と話し、 過去の生息情報や湧水地の場所などの情報を求めている。

 ミナミトミヨはトゲウオ科の1種で、 学名は 「柏原産」 を意味する語句がある 「ピゴステウス・カイバラエ」。 1915年(大正4)、 氷上町で旧制柏原中学校 (柏原高校) の生徒が見つけ、 当時、 日本の魚類学の権威が 「日本魚類の10新種」 として発表した経緯がある。

 水温17度以下の冷水にしか生息できず、 きれいな湧き水が絶えず流れている所に生息したとされる。 体長は3―5センチほど。 トゲのような背びれと横腹に一列となったウロコが特徴で、 地元丹波では 「カツオ」 と呼ばれていた。

 かつて生息が確認されていた氷上町成松では、 葛野川の伏流水が流れる水路に分布していたが、 大正期に行われたほ場整備などの環境変化で伏流水がかれ、 昭和初期には姿を消した。

 2年前、 同クラブはミナミトミヨについての講演会を開催。 講師から 「ミナミトミヨに目を向けてください」 と、 呼びかけられたのがきっかけになり、 同委員会を設立した。 5月には捜索情報を求めるビラを市内に配布。 これまでに2件の過去の生息情報が寄せられたが、 有力ではなく、 市内の湧水地などを調べている。 同委員会は今後も調査を続ける予定。

 保尾さんは 「あわよくば見つかってくれればという心境で、 捜索している。 今後も捜索を続ける一方で、 ほ場整備や河川改修で湧水地が絶え、 居場所がなくなったミナミトミヨの生態を伝えることで、 水保全の大切さを伝えたい」 と話している。

 同委員会は、 8月4日午後2時から柏原住民センター (柏原町柏原) で講演会 「トゲウオの生態と湧水の保全」 を催す。 講師は、 淡水魚の研究を通して水保全・環境問題にも詳しい森誠一・岐阜経済大学教授。 入場無料で、 申し込みは26日までにファクス (0795・72・2684) で同クラブへ。

 

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