「三宝ダム」「みくまりダム」過去最低の貯水率に

2013.06.16
ニュース丹波市丹波篠山市

写真・貯水量が減り、 湖底が姿を現し始めた三宝ダム。 水際が後退したため、 水を求めて泥の中を移動し、 力尽きたと思われる貝も見られた=丹波市春日町上三井庄で

写真・貯水率20%を切ったみくまりダム=篠山市三熊で

 全国的な高温少雨で、 丹波地域でも柏原で13日に6月としては観測史上(1976年以来)5番目に暑い34・4度 (神戸海洋気象台アメダス) を記録、 5月―6月11日までの降水量が平年比27%の57ミリ(同アメダス)にとどまり、 夏を思わす厳しい暑さが続いている。 これまでのところ、生活に直接影響は出ていないが、 農作物を中心に影響が懸念されている。

 

 5月は、 月間日照時間が212・6時間と、 1976年に観測を始めて以来、 最長。 同月の降水量は、 56・5ミリと、 観測史上最少。 近畿地方は5月28日ごろに梅雨入りした模様との発表があったが、 6月に入っても6日に0・5ミリ降っただけ。

 この影響で、 県丹波土木事務所が管轄するみくまりダム (篠山市三熊) は、 貯水率が17・9%、 三宝ダム (春日町上三井庄) は同35・5% (共に14日午後4時) と、 両ダムとも運用を始めて以来最低の貯水量となっている。

 両市と同事務所、 ダムの地元は6日に渇水対策会議を開き、 放水量を減らすことを決めた。 みくまりでは、 放水量を約76%カット。 三宝でも62・5%カットしている。 みくまりは、 大芋、 村雲両地区全域と福住地区の一部、 三宝は春日町大路地区全域の上水道の水源。 両ダムとも上水道にあてる取水量は減らしておらず、 給水制限はしていない。 河川放流と農業用水分を削減。 両市は、 対象地区で節水を呼びかけている。

 同土木事務所では、 まとまった雨が降らなければ、 月末に貯水量がゼロ近くになると推計。 天候を注視している。

 農作物への影響では、 「トマトやキュウリといった夏野菜の生育が早まっている。 今どうこうより、 これから植える分に影響が出かねない」 (東兵庫魚菜) と見ている。 県丹波農業改良普及センターは、 は種時期を迎えた黒大豆、 芽を出してきたヤマノイモの特産農作物や水稲に影響が出かねないと、 懸念している。

 同事務所によると、 苗の移植でなく、 直播きで黒大豆を育てる場合、 土中に水分がないと発芽率が悪くなるという。 萌芽期のヤマノイモの生育にも水が必要で、 育ちが悪くなる懸念があるほか、 水を落とした田んぼに再び入れる水があるかどうか心配している。

 丹波市内で黒大豆、 ヤマノイモの栽培が盛んな柏原町で農業を営む男性によると、 黒大豆の発芽率が悪くなることを予測し、 例年より補植用の苗を大量に作る、 といった対応を取る人が出てきているという。

 JA丹波ひかみ柏原営農経済センターは、 黒大豆について、 「芽を切らないので、 ひと雨降ってから植えては」、 ヤマノイモは、 「うねの谷間に水をさっとかけ流しては」 と農家に助言している。 ただほ場によって水が確保できる所とできない所があり、 「水分保持にワラを敷いてもらうしかできないところもある。 黒大豆が本格化する20日前後に一雨ほしい」 と、 雲行きに気をもんでいる。

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