丹波市氷上町葛野自治振興会が丹波市の 「元気な地域づくり事業」 を利用した特産品開発の一つとして研究しているホンモロコの養殖が、 2年目に入った。 同市氷上町三原の試験池で成魚が育ち、 産卵。 稚魚もかえり、 順調に推移している。 今年度、 新たに1人が池をこしらえ、 研究に加わった。 「なるか、 地域の新特産」 ―。
氷上町三原の十倉厚雄さん (62) が昨年設けた試験池。 3センチほどの稚魚を500匹放流。 産卵準備のために1月初旬に池の水を抜き、 別のタンクに移す際に3分の1ほどが成魚 (約10センチ) に育ったのを確認した。
池は乾燥させ、 消毒後、 稚魚のエサとなるミジンコを発生させるべく鶏糞をまき、 4月に水をはった。
成魚は、 5月初旬からタンクに浮かべたシュロに卵を産み始めた。 卵を衣装ケースに移し孵化させ、 池に戻したところ、 ミジンコを食べ1センチほどに成長した姿が見られるようになった。
「池の水を落とすまで、 どの程度成魚になっているのかわからなかったし、 孵化しても、 かえってすぐの稚魚は小さく、 とにかく、 生きてるのかどうかが分からなかった」 と十倉さん。 少しでも多く卵を産んで数を増やしたいとの思いから 「成魚には一匹も手をつけなかった。 葛野産のモロコの味見はまだしていない」 と笑う。
来年からの本格的な養殖に向け、 別の場所に養殖池を作ろうと計画中。 「生き物を育てるのはおもしろい。 販路をぼちぼち考えないと」 と、 手応えを感じている。
自宅裏に池をこしらえ、 新たに研究を始めたのは、 自治振興会長の安達晴太郎さん (67) =同町柿柴=。 田んぼの上土だけを取り除き、 農業用パイプとコンパネ、 防水シートを使って、 縦横8メートル、 水深70センチの 「巨大水槽」 状の養殖池をコツコツ手作りした。 鳥よけにと、 こうもり傘状にパイプを組み、 水面に影を作る 「日除け」 もこしらえた。
滋賀県の水産試験場らの助言で、 空気を4方向から送って水を対流させることで、 モロコを酸欠にさせ、 大量死が生じる原因と見られている藻の発生を防ぐのに成功。 「藻は抑えられたので、 次は夏場の水温などを研究したい」 と意気込む。
本を読み、 岡山や城崎に足を運び、 勉強している。 「色んなことを試して育てるコツを習得し、 次に始める人に助言ができるようになれば」 と言い、「『かどのの郷』 や 『やすら樹』 で使ってもらえるようになる日が来れば」 と笑顔で話した。