味間地区まちづくり協議会の組織の一つ、 「音羽谷子育て広場運営委員会」 (藤原昭二委員長) が、 2年前から味間認定こども園おとわ園 (篠山市味間新) の裏山で里山整備を進めている 「音羽の森」 に、 今年6月から8月にかけて県の絶滅危惧種に指定されているラン科の希少植物 「ギンラン」 が30株発生。 同委員会は保全を進めていこうと8月21日、 四季の森生涯学習センターで、 専門家を招いて学習会を開いた。
同委員会の委員 (21人) と里山整備に関わっているボランティアら合わせて約20人が参加。 人と自然の博物館の橋本佳延・主任研究員から 「生物多様性の保全と活用をめざした里山管理」 について講義を受けた。
橋本さんはギンランの特徴について、 「県内では養父市より南に広く分布する。 全国35都道府県で絶滅危惧種に指定されており、 県ではレッドデータCランク」 と解説。 「イボタケ科の菌類などと共生関係を結び、 菌から栄養の一部をもらって生きているので、 ギンランを引っこ抜いてきて、 鉢植えや別の場所に移植しようとしても菌がいないので育たない」 と話した。
音羽の森ではこのほか、 ニリンソウやミヤマカタバミなど、 光を多く必要とする植物も確認。 橋本さんは 「両者は兵庫県では絶滅危惧種に指定されていないが、 希少性が低いからといって 『守るべき対象ではない』 ではなくて、 これらが生育できる里山環境を整えることで、 ほかの光を必要とする植物の生育環境を整えることになり、 生物多様性につながっていく」 と訴えた。
さらには、 生物多様性を生み出す森林整備の進め方について、 ▽光をさえぎる照葉樹やササをはじめ、 コシダやウラジロなどの大型のシダを刈り取る=林床に明るい光が差し込むようになり、 光を受けてさまざまな植物が芽を出す▽切った木は林内に放置せず、 長さを切りそろえて集積する=切りっぱなしにすると、 林床が倒木や葉っぱに覆われ、 日の光が当たらなくなり、 植物の成長が阻害される。 集積することで景観上も美しい―などとアドバイスを送っていた。