日赤債務処理巡り難航 2病院統合問題

2013.11.28
ニュース丹波篠山市

写真・2病院の統合と県立柏原看護専門学校の移譲について見解を示す井戸県知事=篠山市郡家で

 井戸敏三県知事は11月25日、 交渉が停滞している県立柏原、 柏原赤十字両病院の統合問題について、 「柏原赤十字の債務をどう処理するかがある」 と述べ、 同病院の20億円を超える累積債務が交渉を難航させていることを明かした。 また、 県立柏原病院の建て替え時期について、 年度内に策定する第2次行革プランの見直し案に、 「平成30 (2018) 年度着工が前倒しされることもあると注意書きをつけた」 と統合協議がまとまれば前倒しする考えを示した。

 

 篠山市の新たんば荘で行われた、 丹波、 篠山両市長、 議長、 両市選出県会議員が出席する 「丹波地域づくり懇話会」 の席上、 「病院統合交渉が停滞しているようだが」 との辻重五郎丹波市長の質問に答えた。

 井戸知事は、 累積債務処理が不要な案として、 日赤に県立柏原の運営を委託する公設民営 (指定管理者制度) 案があったものの、 建て替え費用を県が負担することなどを理由に、 「(指定管理者制度は)難しい」 と述べた。

 その上で、 「日赤の債務は、 新しい県立柏原が引き受けるのか、 日赤県支部が引き受けるのかを含め、 借金の処理の仕方は、 統合と別個に検討した方がいいのでは」 と述べ、 「まだ十分な答えが出ていない」 とした。

 新病院建設時期は、 「協議が整えばできるだけ早く」 と、 前倒しに意欲を見せた。

 また、 15年度に県から市に移管される柏原看護専門学校について、 「病院と看護学校は一体的な運営がいい」 と、 統合病院が移転する場合は学校も移転が望ましいとの考えを示し、 「(移管に向け県と市が) しっかり協働していきたい」 と述べた。

 井戸知事は丹波新聞社の取材に、 「どんな病院を作るのか、 内容ができておらず、 急がないといけない。 総合医療の中核、 地域医療の中核にもという思いがある。 助走期間を持ちながら、 両病院で働いている人の気持ちを一体化することが大切だ」 と答えた。

 柏原赤十字病院の累積債務は、 昨年度末で20億8700万円。 全国に93ある赤十字病院は病院の独立採算が原則だが、 近年経営移譲した赤十字病院の中には、 本社の基金で累積債務を解消したり、 同じ県内の別の赤十字病院が債務を引き継いだケースもある。

 両病院を巡っては、 昨年11月、 丹波市域の今後の医療提供体制のあり方等に関する検討会が、 「2病院統合が望ましい」 と、 知事に答申。 知事が同月、 県病院局と日赤県支部に統合を前提に交渉するよう指示した。 4月に初めて両病院長が顔をそろえ、 統合協議開始に向けた下交渉が行われたが、 いまだ統合協議を始める合意にすら至っていない。

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