農作物を荒らすイノシシやシカを捕まえようと、 篠山市小野奥谷の山林に仕掛けていた箱わなに、 ツキノワグマが誤って捕獲された。 箱わなを設置していた大阪の猟友会メンバーが11月30日午後1時ごろ、 見回りの途中に発見。 翌12月1日の午前中、 県森林動物研究センター (丹波市青垣町沢野) の職員らが麻酔で眠らせ、 身体測定や血液、 体毛などのサンプル採取をし、 発信機の取り付けなどを済ませた後、 同集落の奥山に運んで放った。
全長約1・2メートル、 体重約38キロ、 推定年齢4歳で成獣間近のオス。 箱わなを設置していた場所から一番近い民家までの距離は約300メートルだった。 県内でのクマの誤捕獲事例は、 但馬地域では多数あるが、 丹波地域では初めてという。
同センターの職員らが、 全長や体高、 体重などを計測したほか、 体毛、 血液、 皮膚組織、 上あごの歯などをサンプルとして採取した。 また、 体内に個体識別用のマイクロチップを埋め込み、 首には動画撮影ができるカメラ付き発信機を装着。 放獣後の行動を監視するという。
箱わなの大きさは、 幅約3メートル、 奥行き、 高さともに約1・5メートルで、 3年前から大阪の猟友会が同所に設置し、 シカなどを捕まえていた。
同猟友会のメンバーたちは、 「長年、 猟をしてきたがクマを見たのは初めて」 と珍しがり、 見物に来ていた地元住民の81歳男性も、 「クマなんて、 幼いころに近所の肉屋に持ち込まれていたのを1度見ただけ。 胸の白い三日月模様がきれいやったと、 今でも印象に残っている。 この山に今もおるんやなあ」 などと驚いていた。
同センター職員は、 「冬眠する12月下旬まで、 クマは活発に動き回っているので、 入山の際には注意を」 と呼び掛けている。
ツキノワグマは、 兵庫県版レッドデータブックでBランク (絶滅の危険が増大している種) に指定されている。 しかし、 人里に出没した際の追い払いや、 農作物への被害防御策を講じたにも関わらず、 出没や被害が続く場合は、 有害捕獲として殺処分される。
丹波市では2002、 05年に人家周辺をうろつくクマを人身被害の危険性が高いとして殺処分している。