認知症による徘徊 (はいかい) などで行方不明になる人が全国で年間1万人に上っている問題で、 篠山市内でも徘徊から警察や市民に保護されるなど、 行方不明につながりかねないケースが年間10件以上発生している。 今年は1月から4月の間ですでに10件を超えており、 増加が懸念される一方で、 いずれも無事に保護され、 全員が家族のもとに戻っている。 市は、 「地域の見守りだけでなく、 家族がもしもの場合に備えて、 認知症の家族がいることを周囲に伝えておく必要がある」 と呼びかけている。
市によると、 地域を徘徊している認知症の人やその疑いがある人を保護したケースは、 2012年が17件、 13年が18件。 うち家族から捜索届が出されたのは合わせて6件で、 それ以外は警ら中の篠山署員らが声をかけて徘徊が発覚し、 保護している。
今年に入ってからは4月までの間に11件発生している。
警察庁のまとめでは、 昨年1年間に全国で1万322人が行方不明者として届け出があり、 一昨年よりも7%増加している。 県内では1308人で、 大阪についで全国2番目の多さだった。
また一昨年、 昨年にかけて届け出があり、 今年4月末の時点で不明のままの人は全国で258人に上っている。 県内では5月末時点で8人だった。
今年3月末時点で、 市内で介護保険認定を受けている2405人のうち、 認知症と診断されている人は約1400人。 国の推計では65歳以上の4人に1人が認知症と考えられており、 認知症の疑いがあっても診断されていない人はさらに多いと考えられる。
市地域福祉課は、 「昔よりも寿命が延びていることで、 認知症の人も増えているのでは」 とし、 「家族の了解を得て、 自宅近くの駐在所や民生委員、 自治会などに、 患者の写真や特徴を伝えたり、 見守りをお願いすることもある。 認知症の家族を隠そうとするのではなく、 周りの人に助けを求めてほしい」 と話している。
市では来年度、 国が進めている制度 「認知症・徘徊SOSネット」 を取り入れ、 家族の了解があれば認知症の人を登録し、 見守りや徘徊時の保護などにつなげるシステムの導入を目指している。