自立と社会参加支援 篠山市が設置「ひきこもり相談員」

2014.06.19
ニュース

 篠山市は、 ひきこもりに悩む当事者や家族らからの相談に応じる 「ひきこもり支援相談員」 を設置した。 支援員はそれぞれ電話での相談に応じ、 必要な助言を行ったり、 関係機関と連携を図りながら、 自立と社会参加を支援していく。 同事業を担当する市地域福祉課 (079・552・7102) は、 「秘密は厳守します。 ひとりで悩まず、 安心して相談してください」 と呼び掛けている。

 相談員は、 ひきこもりの若者らの支援活動を展開しているNPO法人 「結」 の井上一休さん (同市野尻、 090・1900・6932) と渡辺聖史さん (同市東吹、 同)、 「氷上・篠山子育て親の会」 の篠山代表を務めている荻野千寿子さん (同市東吹、 079・594・3657。 午前中) の3人。

 市は2009年、 民生委員児童委員、 NPO法人 「結」、 心療内科医師、 当事者家族、 関係支援機関などの14人を委員とする 「篠山市ひきこもり支援検討委員会」 を設置。 ひきこもる若者や保護者からの相談への対応、 支援組織への補助金交付の実現、 当事者の生の声を支援者や市民に届ける講演会などを行ってきた。

 12年には、 市内の民生委員児童委員を対象に、 「ひきこもり実態に関するアンケート調査」 を実施。 137人に配布し、 86人 (回収率62%) から回答を得た。 それぞれの委員が担当している地域で、 「ひきこもりではないかと思われる、 気になる方はおられますか」 の質問に、 該当者が計41人いるとの回答を得た。 年代別では、 10代8人、 20代4人、 30代7人、 40代8人、 50代11人、 60代3人で、 40代以上が半数を占める結果となり、 市は 「ひきこもりの高齢化の実態が明らかとなり、 若年層だけの問題ではないことを再認識した」 とした。

◆市内の実態把握「今後の課題」

 一方、 10年に内閣府が実施した、 ひきこもりに関する実態調査では、 ▽普段は家にいるが、 近所のコンビニなどには出掛ける▽自室からは出るが、 家からは出ない▽自室からほとんど出ない―の 「狭義のひきこもり」 に該当する人の推計数を23・6万人とし、 ▽ふだんは家にいるが、 自分の趣味に関する用事のときだけ外出する―という 「準ひきこもり」 の推計数を46万人と算出。 両者を合計した 「広義のひきこもり」 を69・6万人と報告している。

 この推計数をもとに、 篠山市の人口 (今年1月現在) から、 ひきこもりの予測数を割り出すと、 「狭義」 は268人、 「準」 は524人になるという。

 市の実態調査で得られた41人という数値は、 その予測数と大きな差があることから、 市は 「まだまだ市内の実態は把握できていない。 今後の課題」 とし、 「ひきこもりや不登校、 児童思春期に関する相談体制の充実を図っていくためにも、 臨床心理士から面接の技法を学ぶなど、 相談支援者のスキル向上に努めていきたい」 と話している。

ひきこもりの定義】さまざまな要因の結果として社会的参加 (義務教育を含む就学、 非常勤職を含む就労、 家庭外での交流など) を回避し、 原則的には6カ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態 (他所と交わらない形での外出をしていてもよい) を指す。 (ひきこもりの評価・支援に関するガイドラインによる)

 

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