鹿・猪の被害対策任せて 実務経験者会社興す 青垣町佐治

2014.06.12
ニュース丹波市

調査に用いるセンサーカメラを手にする安達義孝社長=青垣町佐治で

シカ、 イノシシによる農作物被害が頻発するなか、 丹波市青垣町佐治に、 野生鳥獣による被害対策や捕獲のコンサル業務や、 生態調査などを行う会社 「野生鳥獣対策連携センター」 (安達義孝社長) ができた。 県自然環境課野生鳥獣係は、 類似業務を行う会社を 「県内で聞いたことがない」 と話している。

行政、 農林業者、 行政らが連携して取り組める効果的な被害対策を提案・サポートするとの思いから、 社名を決めた。

社長の安達さん (66) =同町市原=は、 丹波市役所を退職後、 県森林動物研究センター (同町沢野) で7年間、 相談員として勤務。 専務の阿部豪さん (39) =同町応相寺=は、 県立大自然・環境科学研究所の特任講師で、 被害対策などの研究者。

2人以外に社員が6人。 獣医師が1人と、 昨年度、 県が単年度事業で各農林振興事務所に置いた野生動物分布拡大対策現地指導員4人ら。 同指導員らは、 中播磨、 淡路、 阪神の各地域で、 集落に入り、 適正な防護柵の選定や、 けもの道の見つけ方、 わなを仕掛ける場所の選定、 わなへ誘引するための餌付けの仕方などの座学と実技を教える実務に携わった。 また、 鉄砲か、 わなの狩猟免許を全員が持っている。

今年度は、 県から 「地域人づくり事業」 を受託。 同業務で県が選定する50集落程度に赴き、 被害状況調査や被害対策の指導、 指導者の養成などを行う。

安達社長は、 「行政からの依頼、 コンサルが業務の中心になる」 と言い、 「知識と経験があるスタッフがそろっているのが強み。 同じ問題で全国的に困っているが、 ノウハウがないのが実際。 野生動物管理先進県の兵庫から全国に発信していきたい」 と話している。

全国的な狩猟者の高齢化、 減少を受け、 政府は、 新たに鳥獣を管理するための措置を導入すべく 「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案」 を改正した。 新しい法律の名を 「鳥獣の保護及び管理」 に改めるなど、 「適正管理」 を強くうたった内容になっている。

この中に、 一定の基準に合った業者が都道府県知事の認定を受け鳥獣の捕獲などを行えるようにするという個所があり、 現在は猟友会が担うことが多い、 有害鳥獣の駆除に民間の参入が認められる見通しになっているなど、 野生鳥獣の管理を取り巻く環境は大きく変わりつつある。

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