篠山市内全域で先月末からコバエの一種、 「クロバネキノコバエ」 が大量に発生し、 住民らを悩ませている。 丹波新聞の取材では、 今田地域を除くほぼ市内全域で発生が確認されており、 窓が黒くなるほど張り付いていたり、 溜まった死骸をほうきで掃くケースも。 丹波健康福祉事務所は、 「基本的に無害だが、 抜本的な対処法はなく、 朝方に発生するようなので、 窓を開けないようにするくらいしかない。 梅雨が明ければいなくなるはず」 と話している。
黒色か暗褐色のクロバネキノコバエは、 体長が1―2ミリ程度。 人体に害はないが、 窓や扉の小さな隙間からも侵入する。 寿命は4日から10日ほどとされ、 高温多湿になる梅雨時期に発生し、 特に気温の上昇や、 雨が降った翌日に晴れるなどの条件がそろうと大量に発生するという。 朝方から午前10時ごろに多いともされる。
水分を含んだ腐葉土などがある場所に産卵するという。
対策としては、 ▽朝方は窓を閉める▽隙間をふさぐ▽網戸に殺虫スプレーをしておく―があるが、 いまだ生態に不明な点も多く、 駆除は難しい。
毎年発生している虫ではあるが、 特に今年は当たり年のようで、 本紙の取材では市内16小学校のうち、 今田小を除くすべての学校で発生が確認されており、 全域的な大量発生とみられる。
ある小学校では、 普段給食を食べる1階で大量に確認されたため、 2階など別の場所に移動。 ほかの小学校でも、 手で虫をはらいながら授業を受けている。
各校とも6月末ごろから、 7月4日ごろにかけて発生しており、 早朝から昼ごろまでの間に大量に飛来するケースが多いという。
網戸などには教員らが少量の殺虫剤をまいたり、 蚊取り線香をたくなどしているが、 追いつかず、 対応に苦慮している。
また各校それぞれが 「この近所だけ」 と考えているケースが多く、 「近所の畑の肥料の影響か」 「プランターから発生しているのでは」 などと想像をめぐらせている。 しかし、 全市的に発生しているということについて、 ある教員は、 「これほどたくさんの虫が市内のいたるところにいるなんて、 考えただけで寒気がする」 と声を震わせた。
市教育委員会では、 各校に注意を呼びかける書面を送っている。 給食への混入を防ぐために2つの学校給食センターでも対応を取っており、 8日時点までに混入の報告はないという。
市教委学事課では、 「報告を受けているが、 具体的な対処法がない。 梅雨時期だけのものだと思うので、 しばらく耐えてもらうしか…」 とした。
今年は南丹市や福知山市など、 京都・丹波地域でも同様の大量発生が確認されている。