名刹石像寺に土石流 本堂や庭園にうず高く
名園で知られる名刹、 石像寺 (兵庫県丹波市市島町中竹田) では裏手の山が崩れ、 土石流が本堂や庭園を襲った。 本堂や庭園などには土砂がうず高く積もり、 最大で2メートルほどの高さに達した。 重森三玲の作として名高い庭園 「四神相応の庭」 も見る影がなかった。
佐久間正昭住職の妻、 千佐子さん (64) によると、 17日午前3時ごろ、 消防署に連絡。 本堂を見に行くと、 土石流が流れ込んでおり、 「足がすくんだ」 という。
「土石流が流れ込む前、 土のにおいが漂ってきて、 ひょっとしたら土砂崩れがあるかもと思ったのですが、 まさかここまでとは。 夜は、 雨の音や岩の音、 木がミシッミシッとする音におびえていました」 と話していた。
氷上地域でも広範囲に被害
甚大な被害を受けた市島町前山地区から五台山を挟んで反対側にある丹波市氷上町香良をはじめ、 氷上地域の広い範囲でも大きな被害が出た。
氷上町香良では、 「独鈷の滝」 があることで知られる香良谷川が土砂で崩壊。 登山道につながるアスファルト道は波を打ち、 マンホールがむき出しになるほどえぐり取られた個所も。 山門前にあった 「あじさい公園」 も跡形もなく、 泥の川と化した。
足立昇三郎自治会長 (66) によると、 17日朝の明るくなり始めたころに一気に土石流が押し寄せ、 50戸ほどが床下浸水したという。
氷上町北田井 (賀茂) でも山から流れ出た土砂で、 県道に通じる公民館前の道路が川と化し、 同県道に土砂が堆積、 通行止めとなった。
金子智昭自治会長 (61) によると、 午前3時ごろに村役員が他の所を手分けして見回り、 戻ってくると風景が変わっていた。 20―30分ほどの間のことだったという。
同町鴨内でもものすごい勢いで流れ出た濁水と流木が多くの民家に流れ込んだ。