被災者が公的支援を受ける場合などに必要となる 「り災証明書」 の発行に向けて、 兵庫県丹波市が家屋被害調査を急いでいる。 ただ、 被災した家屋が多いこと、 調査ができる職員が限られていることなどから思うように作業が進んでいない。 市は、 「県とも調整しながら不公平のない認定をしたい」 といい、 9月上旬の発行開始をめどに調査を進めている。
調査ができる職員は約70人いるが、 それぞれの配属部署で災害対応に当たっており、 十分な人数確保が困難な状態。 県職員約30人の手を借りて10―15班 (1班=3人) 体制で臨んでいる。 事前準備や、 調査後の結果に偏りがないようにする微調整も必要で、 連日、 遅くまで作業が続いている。
市は19日に調査に着手。 まずは被害が甚大だった市島地域に調査班を投入し、 全壊、 半壊など程度の重いものから手をつけていった。 調査が難航した個所も多く、 24日現在で500軒超の調査を終えた。 市税務課は、 「調査すべき家屋は1200―1300と見ているが、 まだ全体がよめない状況。 週末にかけてペースはあがるはず」 と話す。
一方、 これまでに国の被災者生活再建支援法、 県の災害救助法の適用を受けたが、 今回の災害に対し、 具体的にどのような措置が受けられるのかについて内部で研究を始めた。
市島町上鴨阪の余田常雄さん (60) 宅は、 大量の土砂が屋内に入り込んだ。 屋内のほぼ全域で1メートル以上の土砂が平らに堆積し、 腰をかがめないと天井に頭を打ち付けてしまう状態で、 とても住める状態にはない。 重機も入れず、 人力による撤去ができる量でもない。 ただ、 周囲に土砂が積もり、 窓ガラスが割れていることなど以外は家の外観がかろうじて残っている。
余田さんは、 「これで半壊と診断されたらたまったものではない。 今から不安で仕方がない」 と声を震わせている。
【り災証明書】風水害などで被災した家屋や事業所などの被害の程度を証明する書類。自治体が現地調査を行い、 発行するのもので、 全壊、 大規模半壊、 半壊、 一部損壊、 床上浸水、 床下浸水―などの区分で被害の程度を認定する。 被災者生活再建支援金や被災者支援制度などの公的支援を受ける場合に必要となる。