兵庫県丹波市が昨年8月に発注した化学消防ポンプ自動車の入札をめぐり、 業者に設計額を漏らしたとして市消防本部係長の松尾恒伸容疑者 (47) らが公契約関係入札妨害などの容疑で逮捕された事件を受け、 同市議会は10月29日、 同31日に市会議員総会を開き、 市当局から説明を受けた。 市は、 化学ポンプ車積載用ボンベ購入における不正事務が発覚した昨年末に行った、 関係職員への聴取で、 「消防ポンプ車購入における価格漏えいや、 そのほかにも不正がいくつかある」 との情報をつかんでいたことを明らかにした。
市によると、 ボンベ購入の不正事務に関し、 昨年末から年明けにかけ複数の消防職員を事情聴取。 その中で、 ボンベ購入以外の不正について 「噂を聞いたことがある」 との証言を得た。 「業者から工具セットの提供を持ちかけられた」 といった話も聞いており、 市は逮捕された係長を含む関係職員らを再聴取。 金品の授受などをしたことがないか再確認した上で、 文書でも回答させたが、 いずれも 「ない」 と回答した。
議員らは 「他に不正があると知りながら、 対応が甘いのではないか」 と指摘。 鬼頭哲也副市長は、 「再聴取、 文書でも 『ほかに不正はない』 との回答だった。 我々がこれ以上調べるのは限界で、 警察にお任せするのが最善と判断した」 と答弁した。
また、 同容疑者が、 発注する消防車の規格や設計額を積算する担当者だったこと、 2012年の水槽付化学ポンプ車の入札についても同容疑者が担当し、 同じ 「モリタ大阪支店」 が落札していたことも明らかにした。
市は逮捕直後の会見時には、 同容疑者が入札事務にどう関わったか把握していなかった。
市は実施設計額について、 過去の入札結果などを参考に係長らが積算し、 係長を含め、 決裁を行う統括係長、 2人の副課長、 課長、 次長、 署長、 消防長の計8人が知りうる立場にあると説明。 予定価格は、 実施設計額を参考に最終的には副市長が決めることになっており、 「入札全般にわたり、 (両者は) 近い額になる」 と話した。
議員らは 「設計額を知りうる人数が多いのでは」 「実施設計額と予定価格が近いことを、 業者も分かっているのでは」 などと指摘。 市は 「入札制度のあり方について前向きに検討したい」 と述べた。
昨年発注の化学消防ポンプ自動車の設計額は5431万6000円で、 予定価格は5430万円。 落札額は5350万円。 12年発注の水槽付化学ポンプ車の設計額は3111万8000円で、 予定価格は3110万円。 落札額は3097万円 (いずれも税抜き額)。