兵庫県篠山市乾新町出身で小倉百人一首競技かるたの名人位、 岸田諭さん (27) =篠山かるた協会所属、 京都市=が1月10日、 滋賀県大津市の近江神宮で開かれる 「第61期名人位決定戦」 (全日本かるた協会主催) に臨み、 2度目となる防衛戦を迎える。 一昨年、 兵庫県出身者として初めて名人位に就いた岸田名人。 今年1月に圧倒的な力を見せつけた初防衛後も、 各地の大会に参加しながら腕を磨き続けており、 「名人としての引き出しの多さを見せつけ、 3本先取で勝ちたい」 と意気込む。
決定戦では、 名人に挑戦するための東西代表選を勝ち抜いてきた春野健太郎四段 (東京大学かるた会) と対戦。 岸田名人と春野五段はこれまでに3度対戦しているが、 いずれも名人が破っている。 名人位決定戦は5回戦まであり、 3戦先取したほうが勝利する。
岸田名人は篠山小学校1年生の時から競技かるたを開始。 篠山鳳鳴高校ではかるた部に入部し、 各地の大会で活躍した。
大阪大学医学部に在学中の2009年、 初めて名人戦に挑戦するも西郷直樹永世名人に敗れ、 準名人の座に甘んじたが、 13年、 名人戦に再挑戦し、 兵庫県出身者として初の名人位に就いた。 今年1月の初防衛戦では、 3本先取で名人位のタイトルを守った。
防衛翌日の、 「第63回高松宮賜杯近江神宮全国歌かるた大会」 をはじめ、 今年1年で合計9つの大会に出場し、 7度の栄冠に輝き、 通算35回の優勝を飾っている。
一方で、 今年の競技生活を振り返った岸田名人は、 「昨年よりも出場大会が少なく、 放っておいたら力が衰えていくということを一番感じた」 と言い、 「ただ、 そんな中でも、 決定戦に向けて、 いかに調子を上げていくか、 ということを考えた一年でもあった」 と、 名人位としての思考になりつつある様を語る。
そんな名人を後押ししているのが地元、 篠山かるた教室の盛り上がり。 「競技人口が増えてきていて、 とてもうれしい。 地元の人たちの頑張りが、 力になるし、 僕の頑張りが、 地元に良い影響を与えられたら。 そのためにも名人位を防衛したい」 と気合を入れている。
【競技かるた】「五七五七七」 の和歌を 「五七五」 の 「上の句」 と、 「七七」 の 「下の句」 にわけ、 読手が詠む上の句から該当する札を判断し、 下の句だけが書かれた札をいかに早く取るかを競う。 競技には100首ある札のうち、 50枚だけを使用。 取り札を自陣、 敵陣に25枚ずつ並べる。 敵陣から札を取ると、 自陣の札を1枚相手に送る。 相手がお手つきをした場合も同様。 自陣の札が先になくなった方が勝利する。