文化庁は4月24日、 地域の有形・無形の文化財群をひとまとめにした 「ストーリー」 を地域の活性化に役立てる 「日本遺産」 に、 篠山市のデカンショ節をテーマにした文化や伝統のストーリーを認定した。 全国の自治体から提案された83件のうち、 篠山市を含む18件を認定した。 県内では篠山市のみ。 関西2府4県では滋賀県、 京都府、 明日香村・橿原市・高取町 (奈良県) の3件で、 単独の市町は篠山市のみ。
篠山市が認定されたストーリーのタイトルは 「丹波篠山 デカンショ節―民謡に乗せて歌い継ぐふるさとの記憶」。 デカンショ節の歌詞には、 篠山城や特産物、 丹波杜氏の姿など、 数多くの歴史、 文化、 伝統が盛り込まれ、 有形・無形の文化財が歌い継がれている。
ストーリーには文化財を取り入れることになっており、 篠山市の提案は15の有形・無形文化財を取り入れただけでなく、 デカンショ節の歌詞と絡めながらストーリー仕立てにした。
例えば、 篠山城跡 (国史跡) は 「並木千本咲いたよ咲いた濠に古城の影ゆれて」、 八上城跡 (国史跡) は 「島と浮かぶよ高城山が霧の丹波の海原に」、 丹波立杭窯 (国選択無形文化財) は 「嫁がほしゅうてろくろを蹴れば土はくるくる壺になる」 ―など、 各文化財を歌詞と連動させた。
認定基準には、 ストーリーの内容の興味深さや斬新さ、 希少性、 地域性などのテーマ設定に関することのほか、 それらを生かすビジョンや具体的方策、 国内外への発信、 地域活性化への体制作りなどがあり、 日本遺産審査委員会 (委員長=稲葉信子・筑波大学院教授、 6人) が審査した。
国は今年度、 8億円を予算化。 人材育成や情報発信、 調査研究などに補助金などの支援策が用意されたり、 国内外への情報発信で知名度アップによる観光客増が見込めるメリットがある。
篠山市は24日、 記者会見を開き、 酒井隆明市長は 「全国で市町単独で認定されたのは8市町だけで光栄なこと。 まちづくり、 観光、 市民活動などに全市的に取り組んでいきたい」 と話した。
県内ではほかに、 淡路市・洲本市・南あわじ市の合同、 高砂市、 姫路市の3件の申請があったが、篠山市だけが認定された。