“幻の酒米”を栽培 山名酒造で仕込みへ 市島町・太田光宣さん

2015.05.28
ニュース丹波市

酒米の苗植えに取り組む関西大学の学生や留学生たち。 冬には酒造りも勉強する=兵庫県丹波市市島町下竹田で

「幻の酒米」 と呼ばれ、 漫画 「夏子の酒」 でモデルとなった在来種 「亀の尾」 の苗植えが5月23日、 兵庫県丹波市市島町下竹田 (樽井) にある太田光宣さん (49) =同町徳尾=のほ場 (約15アール) で行われた。 関西大学佐治スタジオを通じて縁ができた同大学の学生や、 マレーシアやインドネシアなどからの留学生計23人が訪れ、 作業を体験。 地域と連携した授業の一つとして今後も月に1回のペースで世話を手伝う。 収穫した米は山名酒造 (山名純吾社長、 同町上田) で仕込み、 酒ができるまでの一連の工程を見学、 体験する。

知人から種もみを譲り受けた太田さんと、 同品種に関心のあった山名社長の間で話がまとまり、 太田さんが栽培し、 山名酒造で仕込むことに。 そこへ農作業を通じて地域の営みを学ぶ体験学習ができる場を求めていた同大学が太田さんを紹介され、 学生と一緒に栽培に取り組むことになった。

今後、 学生たちは、 田んぼの草取り、 畦や農道の草刈り、 落ち葉を使った堆肥作り、 さらには収穫やもみすり作業を体験。 酒蔵では酒造りについてレクチャーを受けたり、 仕込みの見学、 ラベルはりなどの出荷作業の手伝いなどに取り組む。

同大学の山本敏幸教授は、 「地域社会と連携し、 米を育てながら生命の尊さを感じること。 そして作ったものを、 いかにブランド化するかを考えるのが授業のねらい」 と説明する。

 

亀の尾】漫画 「夏子の酒」 のモデルになったことで一躍有名になった酒造好適米。 明治26年、 山形県庄内地方の篤農家 「阿部亀次」 が発見、 育成した米で、 「不世出の名品種」 とうたわれた。 戦前には東北・中部地方全域で栽培されていたが、 病害虫に弱く、 倒伏しやすいなど、 その栽培の難しさから徐々に姿を消した。 しかし近年では、 その優れた特性が見直されている。 コシヒカリやササニシキ、 酒米の五百万石などは子孫品種。

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