兵庫県レッドデータブックBランクで、丹波市ではこれまで確認されていなかった腐生植物、ヒナノシャクジョウ(ヒナノシャクジョウ科)が、市内の山中で初確認された。地上部の茎が2ほど、花が1ほどの小さな花で、透き通るような白い姿が林の中に点在している。
丹波自然友の会世話人の金川文雄さん(65)=同市春日町山田=が見つけた。金川さんは5年前に、県で70年ぶりとなるシロシャクジョウ(ヒナノシャクジョウ科)を市内の山で見つけた。それ以降、シロシャクジョウを見つけたのと同じヒノキの植林を注意深く観察するようになり、今回もたまたまのぞいたヒノキ林の中で見つけた。
「シロシャクジョウの仲間と思ったが、名前が分からなかった。ひょっとしたら珍しいものかなと思い、自宅で図鑑で調べ見当がついた」と言う。植物分類学が専門の「県立人と自然の博物館」(三田市)の鈴木武研究員に写真を送付、まず間違いないという。
茎が短く、地面の上に花が咲いているように見えるが、花びらはなく、筒状の花筒の先端に、1ほどの小さな花をつける。
丹波市の植物研究に足跡を残した元中学教師、故・細見末雄さんが編み、友の会が一番の参考書にしている「丹波草木誌」にもヒナノシャクジョウの記述はない。
金川さんは「何か珍しいものはないかな、と下を向いて探すのがくせになっている。ますます足元を見たい」と笑顔で話した。
ヒナノシャクジョウは、関東以西の本州、四国、九州に分布。県内は少なく、丹波市が県内最北端。